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サン=ジェルマン大通り一二五番地で

先日古本カフェのお兄さんに新刊情報をもらった。
「類推の山」のルネ・ドーマルの本が出ましたよね。。。”
未完の大作「類推の山」以外に邦訳なんて出ないと思っていたドーマルの新刊は、風濤社の《シュルレアリスムの本棚》なるシリーズのめでたくも、第一回刊行本で、タイトルは 『大いなる酒宴』。 早速家に帰ってからAmazonで調べると、ある。でそれを買わずして第2回目の配布本、先月発売になったこちらを何故かポチってしまった。理由は、どちらもほぼ発売したてで新刊みたいなものだけれど、こちらの方が若干値崩れが早く安かったから。。。 ドーマルの「類推の山」は狂信的熱狂者がいるらしいので、やっぱり人気なんだろう。
サン=ジェルマン大通り一二五番地で (シュルレアリスムの本棚)サン=ジェルマン大通り一二五番地で (シュルレアリスムの本棚)
(2013/07)
バンジャマン ペレ

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シュルレアリスムの自動記述の大いなる成果──天衣無縫・奇想天外・支離滅裂、ぶっとんだストーリー!意味など、辻褄など存在しない。ただ、ペレによって書かれたテクストがあるのみだ! 読めばよむほど中毒になる、極上の乾いたユーモア11篇。

シュルレアリスムの定義は知らんが、世に数多ある天衣無縫だの、奇想天外だの、支離滅裂だのと形容される本はそれなりに意味をなした文章だったと気付く。いやはや、この短篇集、意味も辻褄もないというのは、大当たりな形容詞だ。文章が繋がってないどころか、ピリオドからピリオドまでの一文の中で、既に辻褄も意味もないじゃん。文章というものはある程度飛ばして読める理由は、こうくればこうなる、という想定範囲内の単語が並ぶからで、ここまで想定外の言葉が並ぶと見事としかいいようがない。シュルレアリスムの絵画(ダリでもマグリットでもよいが)がフラッシュバックでチカチカ展開しているような様を想像してもらえれば、それが近い(読書中の私の脳内映像はそんなだった)。

ということで、収録されている短篇たちに粗筋なんてものはない。この本250ページなのだが、174ページ目からあとは訳者によるペレの経歴と作品の解説。期待して、すがるように解説を読んでみたが、ますますよくわからんぞ! わからんけれど、訳者にこう云われたので、よしとすることにした。
私たちはテクストによってペレのいいたいことを理解するわけではないし、彼から何らかの真実を伝達されるわけでもない。だがその代わり、これといった理由がありはしないけれど、この言葉を口にしたいと思ったのは本当なのだという彼のつぶやきを聞き取るだろう。ペレのテクストの前で私たちは、意味することからも創り出すことからも、自由なのである。

シュルレアリスムに悪意を持つわけではないが、ある時から ”どうもね・・・” という気分になっている。そのカテゴリーとされている本や絵画など、作品それ自体に文句はないのだけれど、集団となった時の宗教臭さがどうも鼻に付く。きっと以前に見た「シュルレアリスム展」でその20世紀最大の芸術運動の中核者、アンドレ・ブルトンがのたまった言葉の何かが気に入らなかったんだろう。まあ、ブルトンの著作を一冊も読まずして悪口を云うのも反則で、鼻持ちならないヤツと勝手な印象と思い込みに徹しているのは、私の得意な喰わず嫌いなんだが、裏を返せば、反発を感じるということは何某か認めざるを得ない凄さを持っているということでもある(それは悔しいがちょっと認める)。もちろん、20世紀最大の芸術運動の裾野は広く、その影響はその時代の人々にもその後の人々にも多大なる影響を与えたわけで、私だって素通りなんて出来やしない。アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」はとても読む気にはならないけれど、こんなシリーズなら大歓迎する (だから、ドーマルの新作よ、早く値崩れしておくれ・・・)
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