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薄気味わるい話

ここで大騒ぎして買いまくったバベルの図書館シリーズの栄誉ある最終購入巻となったのがこの本。悔しいがどうにも値下がりせず3000円也で手を打った。騒いだものの、全巻揃ってしまうと何だか安心してほったらかしということはよくある話し。しかもこの縦長変形サイズの本は持ち歩くには都合が宜しくなく、更に更に消化が遅れる次第。夏休みなんだからな~~にもしないぞ、と決めてかかった今日のような日にはうってつけなのだが・・・ 
4336025681レオン・ブロウ ― 薄気味わるい話 (バベルの図書館 13)
レオン・マリー・ブロア ホルヘ・ルイス・ボルヘス
国書刊行会 1994-03

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レオン・ブロウ ― 薄気味わるい話

さて毎回楽しみは冒頭のボルヘスの序文。
現代は「黒いユーモア」と呼ばれる言い回しを考え出した。いままでに、レオン・ブロウほどパンチのきいた、表現豊かなユーモアを達成した者はいない。
パンチのきいた??(ボルヘス爺ちゃんの語彙にパンチがあったとは思えないが)やや古式ゆかしい黒いユーモアは大歓迎。ショートショートに近い短篇ばかりで、短篇であるが故にパンチは強烈。

「煎じ薬」
「うちの年寄り」
「ブルール氏の信仰」
「ロンジュモーの囚人たち」
「陳腐な思いつき」
「ある歯医者へのおそろしい罰」
「あんたの欲しいことはなんでも」
「最後に焼くもの」
「殉教者の女」
「白目になって」
「だれも完全ではない」
「カインのもっともすばらしい見つけもの」

ボルヘスの序文の中に、「憎しみの収集家レオン・ブロウ」という表現があるが、どれもこれも人間の醜い部分が並ぶ「悪」の見本市のようだ。が、凄いのは?、不思議なのは? 悪や不幸をさらりと云うか、あっけらかんと云うか、さもありふれた日常のように描くものだから、べったりとした後味がなくむしろスッキリ。・・・ と書いたところで、これはもしや、人の不幸や悪行を喜ぶ私の内なる悪魔の仕業か?と不安になってきた。正しい人間はこれを読んだら、人間の醜さに顔を背けたくなる(はず)。

本に挟まれていた月報を書いているのは、翻訳をした田辺保氏。レオン・ブロウは、
まぎれもなく詩人であり、乞食であり、巡礼であり、その血を売って生きる文字通りの貧者であった。・・・・・
彼自身がわざとのように、お上品な方々の眉をひそめさせる、スカトロジックな悪臭粉々の言辞をひろうし、過激な個人攻撃に走ってわが身を孤立に追い込み、並みの読者をはねつける詰屈・生硬の文体をもって作品を装ってきた。


途轍もない人間嫌い、貧乏礼賛、アンチブルジョワにして、熱心なカトリック信者。これが彼の本当の姿なのかどうかは分からないが、実は新ローマ法王のフランシスコ1世が即位初日に、システィーナ礼拝堂で初めて執り行ったミサで、ブロウの言葉を引用した、らしい。
「神に祈りを捧げない者は、悪魔に祈るのと同様だ」
残念ながら、彼の作品はほとんど入手不可能。せめてどなたかWikiでページを作ってください。
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