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燃える平原

「ペドロ・パラモ」 を書いたフアン・ルルフォの残る1冊は短篇集。作家一筋で生きた人生ではなかった彼が、まずこれを書き上げ、そして傑作「ペドロ・パラモ」を書き、そしてその名声の側ら、ずっと沈黙を守り続けた。未亡人によると、新しい作品に取り組んでみるものの、全てがまたも「ペドロ・パラモ」になってしまったという。
燃える平原 (叢書 アンデスの風)燃える平原 (叢書 アンデスの風)
(1990/12)
フアン ルルフォ

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自らの家族を亡くし、辛い人生を歩んだフアン・ルルフォの作品は「死」ばかりが強調される。「ペドロ・パラモ」にはあったラテン的な幻想味は、これに比べれば救いがある。「燃える平原」には救いが全くない。暴力、殺人、飢餓、死。舞台は変わらず貧しいメキシコの農村。「ペドロ・パラモ」を読んでからここに来ると、その凄さが改めて実感される。あれは凄かった。先に書かれたのはこちらの短篇集なので、ここから「ペドロ・パラモ」が生まれ、「ペドロ・パラモ」のための助走がこの作品だったのだと、逆行して読むと気付く。

おれたちのもらった土地
コマドレス坂
おれたちは貧しいんだ
追われる男
明け方に
タルパ
マカリオ
燃える平原
殺さねえでくれ
ルビーナ
置いてきぼりにされた夜
北の渡し
覚えてねえか
犬の声は聞こえんか
大地震の日
マティルデ・アルカンヘルの息子
アナクレト・モローネス

17作の短篇集で、1篇1篇は比較的短めで、死ばかりが描かれる割には、貧しい農村の貧しさに目を奪われ、殺人も暴力も霞んでしまう、いや当然であり、宿命だったんだろうとさえ思えてくる。それほど荒んだ不毛の大地を生きてきたのがルルフォなんだろう。現実を現実として描きながら、あまりにも悲惨な現実は、のほほんと平和ボケした日本で暮らしている私には、現実感を求められても厳しい。熱くで乾燥しきった大地では、血も乾き、生物もみな干からび、人の心も乾燥しきってポロポロ崩れ落ちていくよう。

こんなに簡単に人が死んでいく現実は、革命時のメキシコだけではなく、今なお世界中に残るのだよ・・・
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