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The Trial

私は全然知らなかったんですが、「Dover Thrift Editions」って何かというと、Dover Publicationsという出版社が出しているPBで、それでThriftとは何かというと、質素とか節約とかってこと、つまり版権の切れた古典等を思いっきり安く印刷して、思いっきり安い値段で発売してくれるシリーズ。だからこの本もUSD3.50、¥300くらいで買えちゃった。

The Trial (Dover Thrift Editions)The Trial (Dover Thrift Editions)
(2009/07/22)
Franz Kafka

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さて、Amazonから届いた本を見て、犠牲なくして安くしてはくれないのだと気付く(が遅い)。まず、こんなに上下左右のマージンがない本、始めて見た。若干縦長の本だけど、1ページがなんと43行。あまりに行間が狭くて、読んでいると行ズレをおこしちゃうし(定規あてながら読んだほうがいい・・・)、ページがなかなかめくれないので、読み進むにつれてアクセルを吹かしていくはずが、ブレーキを踏まされちゃう。165ページの薄い本のくせに、10万語弱ある計算だから、まあ、何はともあれ見事なもんだ。もう一度買うか?と言われると遠慮したいけど、この徹底ぶりは誉めてもいいか。。。

主人公K.はある朝、身に覚えがないのにいきなり逮捕され、でも今まで通りに銀行で働いてもよい、と言われる。入れ替わり立ち代り、裁判官に弁護士、小役人にビジネスマン、果てには法廷画家や神父まで出てくるけど、どうして逮捕されたのか、裁判がどう進展しているのか(いや、進展していないんだけど)、誰も知らない、そして判らぬまま、ある朝K.は突然処刑される。入れ替わり立ち代り出てくる人たちは揃いも揃って饒舌で、でも核心には触れず(いや、知らないだけなんだけど)、枝葉の話しを理論家然として語るだけ(禅問答みたいだった)、やたら長時間労働者で、裁判とやらにはどうも関わっているのだけれど、とにかく、誰も何も知らない、つまり読者も最後まで何もわからない(このわからなさに気持ち悪さはない)。ただ、最後の場面でK.は自分が処刑されるってわかっていたんじゃないのかなあ?抵抗する意思が感じられないんだよね。そこだけが気になる。

「変身」と「失踪者」は読んだけど、正直あまり印象深くはない。「The Trial」(審判)はリベンジのつもりだったんだけど、私にはどーしてもカフカは短編!という思いが今回も抜け切れずじまい。途中挿入される神父が語る物語も、生前に「掟の門前」として独立した短編となっていて、ほら、やっぱり短編がいいじゃない、と意を強くしたわけ。
Kafkaesque、”カフカ的”ってやつは世界的に文学用語になっていて、使われ過ぎじゃない?と個人的には思ってる。カフカを過大評価しているというつもりは毛頭ない(だって短編は面白いし怖いし)、でもこんなにも玄人・素人取り混ぜて”カフカ的”が乱発されるのはなぜ?(でも短編はイイ) 不条理はすべてカフカ的なのか?と嫌味も言いたくなる(でも短編はすごい)。
カフカの短編集は色々あるけれど、あの「バベルの図書館」シリーズなどどうでしょう?→禿鷹 (バベルの図書館 4) 

で、私はこの先、残りの長編1冊「城」を読むんだろうか?
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