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ちっちゃな回想録

彩流社のポルトガル文学シリーズがまだ創刊され続けているとは知らなかった(失礼!)ということで、マメにチェックしつつ、今回は大盤振る舞いで新刊なぞに手を出した。ノーベル文学賞もとってしまったJose Saramagoは毎回ずっしりと重いテーマを掲げてくれるイメージがあったが、これは意外にも自らの子供時代を、まあどちらかと云うと好き勝手に書いてみたというところか?
ちっちゃな回想録 (ポルトガル文学叢書)ちっちゃな回想録 (ポルトガル文学叢書)
(2013/09/12)
ジョゼ サラマーゴ

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日本から遠く離れたポルトガルの地で生まれ育った彼の回想する故郷は、私には上手く想像し切れない。章割りもなく、つらつらと思いつくままに筆を進め、校正もしないで、もしかしたら読み直しもしないで仕上げちゃったんじゃなかろうか?というくらい、いつもの重厚なサラマーゴらしさは微塵もない。オリーブの木々の風景や、豚やら鶏やらの家畜との暮らし、古い納屋、お祭り、憧れる女の子、小旅行、と取りとめがない。その時の五感を思い出すような彼の筆からは、匂いや触感や色彩が滲んでくるよう・・・ 私はと云えば、子供時代にふんわり飛んで行ってしまった彼の回想録から置いてきぼりをくらい、結局自分の回想をしていただけだった。

日本もそうだったろうけれど、生も死も、お祭りも弔いもすべて一緒くたになった暮らしが昔はあった。今はどこにいても、夜でさえ、闇がなくなってしまったけれど、そういえば子供の頃には、家の中にさえちょっとした闇があった。夜は当然闇だった。お祖母ちゃんの家のトイレはちょっと一人で行くのが恐かった。どこにでもそれぞれの匂い(臭い?)があった。子供の言うことにいちいち構っちゃいられないほったらかしの大らかさがあった。金持ちは金持ち面して、貧乏人はいかにも貧乏人だった・・・ とそんなことを思い出した。

昔は、子供の頃は・・・と昔はよかった談義を出来るほど、私の人生も積もり積もったけれど、昔はよかった談義が出来る人は幸せなんだろう。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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