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Surfacing

Alberto Maguelの「奇想の美術館」 を読んだ後、結局勢いに任せて、彼の本を3冊まとめてポチポチポチとやった。その中の一冊、「A Reading Diary」が届き、どんな読書歴を語ってくれるのかと思いながら目次だけ調査。12冊のうち、2冊も(日本語ながら)既読本がありちょっとビックリ。知っているが手に負えそうもない古典的名作もあり、そして1冊、Margaret Atwoodを見つけた。「The Handmaid's Tale」を昔読んだけれど、一番有名なものはたぶんブッカー章をとった「The Blind Assasin」だろう。本屋で眺めてみたものの、手強そうなのでそれはちょっと手を出さずじまい。「A Reading Diary」に行く前に既読本を3冊にして臨むぞ・・・ととりあえずここから始める。
SurfacingSurfacing
(1998/03/16)
Margaret Atwood

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カナダの女性作家、Margaret Atwoodは (言葉は好きじゃないが) ”女流作家” ということばがぴったりはまるような大御所のイメージ (実際にそうだろうけれど)。フェミニズム文学として語られることが多いそうだけれど、強面のフェミニズムではない。というのは、Surfacingを読み始めてすぐ感じたのは、静けさ、孤独感、詩的な表現が 「The Handmaid's Tale」と共通する。風景や自然を語りながら、それがすべて内面描写でなんだか抽象画を眺めている感じ。

その詩的な心象風景は、200ページ足らずの本が3倍に膨らむくらいの深さがあるので、ペースは上がらない。本当はさらさらと読んでしまわずに、詩を読むようにゆっくりと噛み締めるべきなんだろうけれど、なんせ私は詩が苦手ときているから、見た目より全然手強かった。主人公は女性だし、その女性の内なる葛藤の話しだから、フェミニズムと云えなくもないけれど、とにかく文章が美しいのでそんなことは忘れてしまう(が、その美しさを味わいきれない未熟さよ・・・)

故郷の知り合いから、ひとりで暮らしている父親が失踪したとの知らせを受け、恋人と友人カップルとケベック北部の故郷に向う女性。彼女が捨てるように飛び出した場所は、母親が死んだ後、父親がそこでー湖の中の孤島という世間から完全に孤立した場所ーひとり自給自足の生活をしていた。失踪した父の行方を追うというストーリーが軸にあるものの、故郷に戻ることで封印していた過去の自分が甦り、現在の恋人とのギクシャクした関係も語られる。現在と過去とが代わる代わる登場し、彼女の心の動きが孤島の自然描写を借りて表現される。

実は粗筋をちらりと読んだ時に、結婚や出産や両親、そして自身の子ども時代と、ちょっとDomesticな話しなのかと思い半信半疑で読み始めてみたけれど、そんな日常的な俗っぽさは欠片もなかった。愛情というものが欠落してしまった現在の彼女が回りから孤立していく様子が、カナダのひんやりとした大自然とだぶってくる。結局父親の死に遭遇し、その大自然の中で自分の内なるものと葛藤する。全篇「詩」なので明快で楽観的な結末ではないけれど、何かを打ち破ったという暗示を残して終了。あ~あ、それがSurfacingってことなんだ。

いつか「The Blind Assasin」も読んでみよう。
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