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聖女チェレステ団の悪童

「海底バール」で初めて知ったStefano Benni.現代版グリム童話くらいのグロテスクさと法螺さ加減が、この本では炸裂していた。この方、本国イタリアで人気作家な理由がわかる気がする。
聖女チェレステ団の悪童聖女チェレステ団の悪童
(1995/08)
ステファノ ベンニ

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腐敗と堕落を極めるグラドニア国の首都バネッサにある聖女チェレステ孤児院には、伝説の預言があった―昔、院を寄贈した伯爵の娘で10歳のチェレステが、非道な父親が引き起こした惨事で昇天し、その時遺したものだった。時は現代、孤児院のキリスト像がある日突然倒れ、預言の一つが現実となる。さらに孤児が三人、忽然と姿を消す。折しもその時、謎の人物が各国の悪童を集め、普通の反則なら何でもOKという摩訶不思議なストリートサッカー世界選手権を開こうとしていた…。

この何だか奇想天外な設定と、一見児童書のような悪童たちの言動と胡散臭い大人たち、実に愉快でリズミカルで、目が回るようなスピーディーな展開で、楽しい、楽しい。イタリア版、Daniel Pennacってな感じ。カッコイイ悪童たちのキメ台詞が、「死ぬのが今なら、マリア様によろしく」 だし、悪童というくらいで、翻訳もベランメエ調あり、江戸風啖呵調あり、でも逞しくて賢くて、気風のいい悪童達が何とも生き生きとしている。私にはとんと気付けないが、知る人が読めば、胡散臭い大人たちのモデルになった人物(ベルルスコーニとか・・・)を目一杯こきおろしていて爽快になるらしい。その他言葉遊びも豊富で、隠語、造語、新語の類の捏造後が満載、というのが、翻訳家のあとがきの解説。元気で騒がしくて、本筋にはいらないであろうエピソードを挟むものだから、物語がどんどん膨らみ、どんどん過激になり、とにかく氾濫して溢れかえって、それでも歯車は止まず、爆走し続ける物語。

日本では絶対に書かれないと思われるこの奇想天外さ。よくもまあ、ここまで作り上げられるものだと感心することしきり。Benniは人気作家だけれど、話術も巧みで声色を変えて朗読もしちゃうらしいし、新聞や雑誌へのエッセイも多く、かなり風刺に満ちた辛辣な文章を書くという。洞察力あり、ユーモアあり、遊び心ありの人気者だというから、邦訳版を出して欲しいなあ。
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