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夢みる人びと

「ピサへの道」に続く、「Seven Gothic Tales」の第2弾。
夢みる人びと 七つのゴシック物語2 (白水uブックス―海外小説永遠の本棚)夢みる人びと 七つのゴシック物語2 (白水uブックス―海外小説永遠の本棚)
(2013/11/09)
イサク ディネセン

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Taleってこういうお話しのことを云うんだろうなあ、と実感する。前回に続き、本当にディネセンはハズレがない。予期せぬ展開なのに、驚かせ方がすごく静かで、北欧を思わせる冷たさで、えぇぇぇ・・・・と余韻が長くて深い。

婚礼の日の朝、冒険を求めて国を出奔、海賊になったと噂される弟が三十年ぶりに帰ってきた。弟を愛し独身を守ってきた二人の姉は、その報せを聞いて故郷の屋敷へ向かうが……死者と生者の交感を描いて夢幻能にも似た味わいの「エルシノーアの一夜」。ローマの売春宿の女、スイスの革命家の帽子つくり、フランスの田舎町の貞淑な聖女―重層する語りの中に浮かびあがる女の複数の生を追う「夢みる人びと」。芸術を愛し、有望な若者を偉大な詩人に育てあげて、その後見人たらんとした顧問官を皮肉な運命が見舞う「詩人」の全三篇を収録。夢想と冒険、人生の神秘を描いて、物語のもつ力を現代に甦らせた作家ディネセンによる不滅の物語集『七つのゴシック物語』下巻。現代のシェヘラザードが様々な声を駆使して織りあげた数奇な物語の数々は、読者を豊饒な語りの迷宮へといざなう。

「エルシノーアの一夜」では、未婚の老姉妹が、婚姻の前夜に逃げ出し、海賊になり処刑された死んだはずの弟の亡霊と対面する話し。老姉妹の悔恨、恨み、人生の悲哀が、一言も声に出していないのにやたら伝わってくる。

「夢みる人びと」はまさに現代版の千夜一夜物語。登場する人たちが、代わる代わる自分の物語を話して聞かせる入子構造。声を失ったオペラ歌手が、一つの人生に拘束されることを止め、複数の人間になって生きていこうと決心する。どの人生も他人の人生のように生きることで、人生の重さから逃れようとする。「一人の人間でいることを止めなさい」 の一言が何とも哀しく重く響く。

「詩人」は自分に才能がないと悟った老いた顧問官が、才能を見込んだ若い男を詩人に仕立て上げようとする。そして此の世を美しいものと考える老人の独善が、最後は「操り人形」に仕立てたはずの女性の復讐で終わる。鮮血とともに深淵に落ちていく老人。これほど冷たい血を描く話しがあっただろうか・・・

7作完了してしまった。もうないのか?彼女が原作を書いた「Out of Africa」はアメリカ映画だったからか、Robert RedfordとMeryl Streepという配役のせいなのか、日本でのタイトルが『愛と哀しみの果て』になってしまったからか、こんな作品を書く人だとは知らずずっと素通りしていた。二人の大物役者のイメージを払拭して読んでみようかと思案中。
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