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書物の敵

「愛書家必読! 本へのオマージュ」 
”高名な古典的名著、待望の初完訳” なのだそうだ・・・ 
書物の敵書物の敵
(2004/10)
ウィリアム ブレイズ

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どの位の古典かというと、William Bladesなる人物は、1824生まれの1890年没、イギリスはビクトリア時代の御仁で、1880年に初版が刊行されている。立派な古典だ。 

第一章 火の暴威
第二章 水の脅威
第三章 ガスと熱気の悪行
第四章 埃と粗略の結果
第五章 無知と偏狭の罪
第六章 紙魚の襲撃
第七章 害獣と害虫の饗宴
第八章 製本屋の暴虐
第九章 蒐集家の身勝手
第十章 召使と子供の狼藉

火、水、ガスに熱気、埃、虫の類、とまあ、ここまでは凡人でも想像がつく。がその先は許されざる人間様にその矛先が向う。製本屋にほとんど同業者の蒐集家に、召使に子供まで。

紙魚(シミ)なる虫についての執着あたりから、はて、古典の名著だと思うから真面目に読んでいたのに、なんだかちと違う。William Blades氏、何でも研究のために紙魚を育てていたらしい。「書物の敵」と云われたら、焚書坑儒の歴史やら、古代アレクサンドリア図書館の書物の行方やら、キリスト教vs.異教徒の話しとか、そういったものを想像したんだが、いくらビクトリア時代の中流知識人だからといって、ここまで偏執狂的に本の敵は人類の敵のごとく、何から何まで扱き下ろさなくてもよかろうに。。。愛書家以外はヒトではないとまで言い出しそうだ、この人。まあ、確かに、貴重な書物の価値も知らず、暖炉の焚き付けに使ってしまうとか、気に入った扉絵だけを切り取り、それを集めたスクラップブックで本を作ったりは、愛書家にとっては身を切られる程の惨事だと思うけど。

じゃあ、どうすりゃいいのかと云うと、
「書物の健康を維持するためにもっともよい方法は、自分の子供のように取り扱うことだ。空気が不浄であったり、暑すぎたり寒すぎたり、あるいはじめじめしていたり乾きすぎたりしている場所に子供を閉じこめておいたら、その子は当然のように病気になるだろう。学問の子たる書物についても、それはまったく同じなのである」

なるほど。でも極めつけはこれだな・・・
「人間と同様に、書物にも魂と肉体がある。魂の部分、つまり内容については取りあえずここでは関わりがないものとしよう。肉体――外形あるいは装丁からなり、これがなければ本の中身も使いようがない」

きっと彼は大真面目にこの著著を書いているんだろうが、ただの本好きの私から見ると、この方、ただの変わり者爺さんじゃなかろうかと、途中から笑いながら読むことにした (なんていったら烈火の如くお叱りを受けるだろう)。私はどちらかというと魂優先で、肉体へのこだわりは少ないもんでね。。。と思っていたら、発売元の八坂書房でも、
「著者は大まじめですがトンデモ本としても読め、笑えます!」
と紹介されていた (なんだ、それでいいのか・・・)

そういえば「紙魚」だが、虫に喰われた本というものは、実は見たことはない。まあ、確かにいくら古本だからといって、虫に喰われた本まで売っている古本はないだろうが、なんのことはない、虫は化学的に処理された紙はお嫌いなんだそう。だから昔の自然素材の紙は好物だが、現代になるにしたがって虫食いの対象になる本は徐々に存在しなくなるということになる。う~~ん、それはそれでちょっと寂しい気がする。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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