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ソラル

「選ばれた女1」 「選ばれた女2」を読み終わった後、Albert Cohenは他に何があるのだろうと思って探し、「釘食い男」が見つかったものの、「選られた女」の濃密具合を味わってしまうと、何だか物足りない気がしてそのままになっていた。それが、こんな本がまだ隠れていたと知った時の嬉しさといったら!! 去年の11月に出た新刊にも関わらず、しつこくAmazonチェックを続けたら、2,000円(定価は¥3,000也)というウソみたいな価格が出てきた。届いた本には、「謹呈」帯がしっかり付いたまま。この本をタダでいただいておきながら、ページも開かずに古本屋に流した輩がいるなんて、罰当たりも甚だしい。(が、どうもありがとう)
ソラルソラル
(2013/11/22)
アルベール・コーエン

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これは「選ばれた女」の前日譚。類稀なる美貌とセンスの持ち主で、社交界の貴婦人たちをたちまち虜にする現代のドンファンのソラルのまたもや愛の物語。そしてユダヤ人であることのアイデンティティーの葛藤の物語。

16歳のときギリシア・ケファリニア島のユダヤ人社会を飛び出した美貌の少年ソラル。たぐいまれなる美しさと野心を合わせ持つ少年は、「運命の女性」オード・ドゥ・モサヌと結ばれ、25歳の若さでフランスの労働大臣まで登り詰める。しかし自ら捨てたはずの出自と、西欧社会の間で苦悩し絶望に陥った彼は、やがて破滅への道を歩み始める―。圧倒的に饒舌な語りと狂奔する熱情がからみあう傑作長編。アカデミー・フランセーズ小説大賞を受賞した名作『選ばれた女』へとつながる物語。

遡って前日譚を読むってどんなものだろう?最初こそやっぱりあの「選ばれた女」の濃密具合には適う筈もないかと思っていたら、加速度的にあの濃密度具合が高まる。やっぱりAlbert Cohenはよいなあ・・・ 饒舌な語り口といい、「選ばれた女」で見事に表現されたポリフォニックな語りも登場し、滑稽すれすれの可笑しさと哀しさもあり、が、全篇をただようペシミズム。破滅への道を突き進み、自ら命を絶つまでに狂人と化していく美しきソラルを見ているだけで私は充分満足だが、自らもユダヤ人で外交官であるAlbert Cohenが描く、2つの大戦の狭間のヨーロッパ社会は、超大国の政治的思惑を背景に、イスラエル建国への布石が打たれ始めた頃。自分の生きてきた社会を飛び出し、西洋に同化しようとするが、決して受け入れられず、そして自ら裏切っておきながら一族を捨てきれないソラル。異教の女、オードと結婚しフランス人になるはずが、屋敷の地下に一族を住まわせる。地上に住まうキリスト教と地下=闇の世界に蠢くユダヤ教の相容れなさが、何とも象徴的。

ソラルの親族達、益荒男5人組の愉快で破天荒な物語が更に必要な理由が「ソラル」を読んだ後ならわかる。ということで、やっぱり「釘食い男」も必読だと納得した次第。
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