Entries

アフリカの日々

「夢みる人びと」のあと予想通り、こちらに行く。変な先入観など置いておいて何故もっと早く手を出さなかったのか! Baroness Karen von Blixen-Finecke、ブリクセン男爵夫人、デンマーク語版は本名のカレン・ブリクセン名義で執筆し、英語版はペンネーム(男性名)のイサク・ディーネセンもしくはアイザック・ディネーセン(Isak Dienesen)名義で執筆。以前どこから検索したらいいのかわからなくなり、投げてしまったが、今改めて本腰を入れて検索。3冊ポチッた。そもそも作家になろうと思った人ではなかったから、執筆を始めたのは、体調を崩してアフリカから故郷デンマークに戻った48歳の時。さほど作品が多いわけではないから、入手できるものは数少ない。
アフリカの日々 (ディネーセン・コレクション 1)アフリカの日々 (ディネーセン・コレクション 1)
(1981/04/25)
アイザック・ディネーセン

商品詳細を見る
故郷を逃げ出し、男爵夫人の地位を得て、ケニアでコーヒー農園経営を始めたDienesen。結局離婚し、夫から梅毒をうつされ、農場経営にも失敗し、デンマークに戻り作家になる。そんな波乱万丈で決して成功はしていない彼女の人生のことをくどくどと書いている自伝ではない。回顧録?それとも違う。壮大な「アフリカのサーガ」だという。夫のことも病気のことも、捨ててきた故郷のことも触れていない。Dienesenが描くのは、魅了され出来ることなら骨を埋めたかったアフリカの自然と動物たちとそこで一緒に暮らした人々、そして生と死。彼女の農園は大英帝国の植民地で、マサイ族、キクユ族など黒人を自由に使って農園の女主人として君臨する。白人の西洋社会から来た彼女が、自分はアフリカに同化したとは言っていないし、思ってもいない。視点は常にデンマークから来た外来者ではあり、ヨーロッパとアフリカの比較文化論的 ”アフリカを賛美する善意の白人農園主”の物語ということでもない。ここにあるのは結局は彼女の死生観なんじゃないだろうか。

それにしてもアフリカの大地は彼女の手にかかると、なんと美しいのだと思う。それでもとても描ききれない、この風景を表現するには、別の形容詞が必要とDienesenは云っている。そして私にはそれが想像し切れない。TVや映画の世界のサバンナの風景以上の光の移り変わりや、空の青さや、乾いた大地や、雨季が始まる直前の空気など、どうにも想像し切れないのである。そしていくら美しいからと云って、例え私がそこを訪れても、きっとこの風景には出会えない。それは目で見る風景ではないのだろう。

時間についても、土地の人たちはゆったりとした友好関係をたもち、退屈して時間をもてあますとか、ひまつぶしをするとかいうことはまったく考えてもみない。実際、時間がかかればかかるほど、彼らは幸せなのである。たとえば、友人を訪問するあいだ、あるキクユ族に馬の番をたのんだとしよう。すると、彼の顔つきは、その訪問がなるべく長びけばよいと思っていることをあらわに示す。彼はそういうとき、時間をつぶそうとはしない。腰をおろし、しずかに時の流れと共に生きてゆくのを楽しむのだ。

何を思考しようと、所詮私の思考など狭い世界の中でしか生きてこなかった、後から植え付けられた既成概念でしかないのだと何度も思う。1分という長さは時計が示す絶対的な1分という長さではなく、そもそも1分の長さなどを話すこと自体、時間の中で窮屈に生きているだけのことで、時の流れと一緒に生きていけば、それはもっとゆったりしたものになるのかもしれない。

ヘミングウェイはノーベル文学賞の授賞の席で、Dienesenこそ受賞すべきだったと述べたという。ノーベル賞がどうということではないのだが、それでも私もヘミングウェイに同意する。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/482-fe923814

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - - - - 12
3 4 5 6 7 89
10 11 12 13 14 1516
17 18 19 20 21 2223
24 25 26 27 28 2930
31 - - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア