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草原に落ちる影

「アフリカの日々」に続き早速。現在一押しのIsak Dienesen。が今回はカーレン・ブリクセン名義で書かれているのね・・ これが彼女の生涯の最後に書かれた作品。
草原に落ちる影草原に落ちる影
(1998/01)
カーレン ブリクセン

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Out of Africaの続篇というより、その執筆から更に年月を経て、人生を振り返った時、改めて考えた ”私にとってのアフリカ”。ケニアの農園が結局破綻し、故郷デンマークに戻り、本を書き始めた彼女。「Out of Africa」よりもこちらの方が短い作品ながら、アフリカの日々への郷愁に満ち溢れている。4篇はどれも短い章ながら、私でさえ、あのアフリカの日々を彼女とともに思い返すような、そんな気持ちになれる。 『ファラー』 『王さまの手紙』 『大いなる仕草』は当時のエピソード。そして最後の『山のこだま』はアフリカを去ってからの、一緒に暮らした人たちのその後の軌跡。

”私にとってのアフリカ” が何であったのか、それは一生かかっても彼女自身にさえ、一言で表すことができるような簡単なものではなかったのかも知れないが、いみじくも作中で云っているように、自分とは異質のものをそのまま受け入れることからすべてが始まるのだろう。
「類似のものを愛でる気持ち」はおぞましい情念で不毛
であり、本当の統合体とは、本来、異質なものから構成されてなければならない。異質なもの、相対するものが一つに合わさることで、真の創造的統合体が生まれる。

デンマークに戻った1931年はナチの台頭の時期と重なる。一時ナチに占領されたデンマークにいて、自身の作品も出版ができないという辛苦も味わった。アーリア人至上主義はそのおぞましい不毛な情念の典型だろうが、それでなくとも、異質なものを認めるということは、そんなに簡単なことではない。アフリカの生活で彼女がみたヨーロッパとアフリカの価値観の相違は、そもそも異なる正義感や死生観をもつ文化との出会いだった。現代のある種、浅はかな文化に惑わされない、生きることと死ぬことが対極しないという生死観。

原作とは違うことは了解の元、もう一度映画「Out of Africa」を観たいと最近思っている。
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