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シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店

途中で気付いたことだが、私がこの書店の存在を知ったのは、この2010年に出版されたこの本を知った時で、
シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々
(2010/05/13)
ジェレミー・マーサー

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古本カフェで↓を見つけた時に、↑の本の古いバージョン、つまり↑は新装版?新訳版?なのだと思っていた。
シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店 (1974年)
シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店

否、こちらとあちらは同じ書店を舞台にしている全く別の作品で、因みに↑の復刻版↓はまた別にあった。
シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店 (KAWADEルネサンス)シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店 (KAWADEルネサンス)
(2011/06/21)
シルヴィア ビーチ

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つまり今回の記事は、真ん中の本となる。1974年に出た本だと思うと、私好みの何とも洒落た装丁。1919年にパリで開店した英文書専門の書店、主は若くて勇敢なアメリカ女性、シルヴィア・ビーチ、この本の著者である。因みに一番上の「シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々」は、1951年にシルヴィア・ビーチの意志を受け継いだ2代目シェイクスピア書店を巡る物語で、現在も営業続行中でパリ名物の一つ。どうでもいい話だが、古本カフェのお兄さんはここの布製ズタ袋風バッグを友人よりパリ土産としてもらったらしく、私に見せてくれた。

シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店と云えば、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』で、この20世紀文学の問題作を紆余曲折の末出版したのがこの書店。書店とは云いながら、『ユリシーズ』限定だが出版もし、書店というからには販売もし、だがそもそもは貸本屋である。会員登録をすると当時フランスではなかなかお目にかかれなかった英米系書籍が読めた。貸本屋という商売は、当時のパリではごく一般的らしく、会員登録料が収入源となっている。とは云いながらこの書店は、その会員たち、もしくは非会員身分でも足繁く通ってきた出版関係者の集う文学サロンとして20世紀文学の舞台裏に君臨していた。ジョイスは当然のことながら、T.S.エリオット、ヴァレリー、ジィド、ラルボー、そして若き日のヘミングウェイ、等など。会員登録もせず、一銭も落とさず書店に入り浸る連中を許し続けた書店は、世紀の問題作『ユリシーズ』の発行者でありながら、家計は常に火の車で、おまけにジョイスの生活の面倒も引き受け、当時の猥褻図画の発禁本、『ユリシーズ』を巡る騒動に巻き込まれる。ドイツ占領下のパリから逃げ出さず開店し続けた書店だが、終戦間際に閉店を余儀なくされたのは、どうもナチが彼女の文学コレクションの没収にかかったかららしい。それらを隠し、店を閉じざるを得なくなる。

パリが解放された直後の混乱期、店のあったオデオン通を開放したのは、戦闘服に身を包んだあのヘミングウェイだった。低い図太い声で「シルヴィア!」と叫んで登場するヘミングウェイは、それまでの駆け出し文学青年から、人々が今イメージするマッチョなヘミングウェイに変身していた。シルヴィアの献身を受けながら、放浪と浪費を続ける青病端の変わり者ジョイスとは対照的で、ちょっとカッコイイ。

初代シルヴィア・ビーチの意思を引き継ぐ今のシェイクスピア・アンド・カンパニイ書店は、2代目ジョージ・ウィットマンの娘のシルヴィア・ウィットマンが経営している。名前が同じシルヴィアなのは、全くの”文学的偶然”らしい。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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