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The Insufferable Gaucho

「The Third Reich」から半年経過し、ボヤボヤしていたらボラーニョ・コレクションからまた新作が発売されていた。「鼻持ちならないガウチョ」 (ボラーニョ・コレクション)。 鼻持ちならない? = Insufferable なのね・・・ この奇抜なタイトルもBolanoらしいと云えば、らしい。
The Insufferable GauchoThe Insufferable Gaucho
(2013/05/31)
Roberto Bolano

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『2666』が遺作だと思っていたら、これもBolano最後の日々に書かれた、もうひとつの遺作らしい。死期を悟った彼が出版社に原稿を手渡し、その2週間後に亡くなったとか。どうもAmazon Japanでは「その他外国文学作品」で”ベストセラー”となっている。すっかり知名度も上げた(しかし、誰もレビューを投稿していない)。こんな超B級グルメのような作家がウケるのだから嬉しい。

彼の短篇は私の知る限り、一番最初に読んだ「通話」 (EXLIBRIS)以来。基本的にこの人の話しには気持ちのいいオチはない。が、途轍もない余韻が残る。オチの面白さよりも過程が面白い。そして相変わらず、会話には「 」がなく、べたべた、べたべた、と地の文として会話を挟み込む(おかげで、本はびっしりと文字が並ぶ)。そして所謂、洗練された美しい文章では全くなく、カンマを使った割り込みが多くて、まるで思いつくままに、喋り倒されている気分になる。それを饒舌と云えば聞こえがいいが、どうにもヘタウマ的な文章だ。『2666』のような超大作を書くくせに、彼の短篇は結構面白いと今回初めて気付いた。でも短篇の名手的な切れ味鋭いというタイプではなく、でも、これが面白いんだなあ。。。 一体全体何よというと、やっぱりどこまでいっても超B級グルメ(しかし、グルメという位なので、やっぱりウマイ)。

最後の二篇は講演の原稿だそうで、原稿だって云われないと原稿だとは思えない。
「執筆はまともではない。まともで楽しいのは読書だ。優雅なのは読書のほうだとすら言える。執筆というのはマゾヒズムの実践だ」
と語ったことがあるそうで、皮肉も滑稽さも笑いも含み、そしてヘタウマなふりをして読者を無理矢理引きずり込むような構成は、予測不可能で乱雑。実際、ストーリーにも死人や血が多いが、それ以上にまるで自分の身を切って作品を生み出しているような ”痛さ”が感じられるけれど、これがマゾヒズムとよんだ彼の執筆活動の結果なのか?もの凄い読書家だった彼が書いた今回の作品は、ボルヘスやカフカへのオマージュが込められているらしいが、文学に対するストイックさをこれほど感じる作家もいない。

没後10年だそうで、日本でも「コレクション」と呼べる程、作品が紹介されるようになったが、英語版も気付くと新作が見つかり、まだまだ楽しめる。
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