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美食

昨年10月の「植物」以来の書物の王国。シリーズ制覇までするつもりはないが、気付くと未読本は残り1冊。
美食 (書物の王国)美食 (書物の王国)
(1998/04)
幸田 露伴、チャールズ ラム 他

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ギリシア人の食(アイリアノス『ギリシア奇談集』 松平千秋・中務哲郎訳)
焙豚の説(ラム 平田禿木訳)
焼白鳥の歌(『カルミナ・ブラーナ』 永野藤夫訳)
陶然亭(青木正児)
食物奇談(一)(江戸時代随筆 須永朝彦編訳)
シュークルート(ジャン・レイ 秋山和夫訳)
珍饌会(幸田露伴)
ミートパイ(ドーデ 川口顕弘訳)
むかし気質の地主(ゴーゴリ 平井肇訳)
大魚の話(ユウェナーリス 藤井昇訳)
食物奇談(二)(王朝説話 須永朝彦訳)
鰻のパテ(『当世一百新話』 鈴木信太郎・渡辺一夫・神沢栄三訳)
食魔(岡本かの子)
廚娘(洪巽『暘谷漫録』 大木康訳)
花合せ(久生十蘭)
大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・バドレディンの物語(『千夜一夜物語』 佐藤正彰訳)
聘珍楼雅懐(中島敦)
白魚変奏曲(ルガリエン 南条竹則訳)


編者も最後に述べているが、「食」というのは何ともネタが多い。美食と銘打っているから「美」に徹しているのかと思いきや、美醜織り交ぜ、俗に言うゲテモノ喰いもあり、いつにも増して古今東西バラエティーに富んだ喰いものネタのアンソロジー。しかし、いつもと違ったのは、今回はクスクス、、、わはは・・・取混ぜ、笑ってしまう話しが満載だったこと。まさか、書物の王国で、こんなに楽しいアンソロジーを取り揃えて編集してくれるとは思ってもみなかった。

チャールズ・ラムの『焙豚の説』はホントか法螺から知らないけれど、焼き豚がいかに発明されたか(怪我の功名ってヤツだ・・・)、『陶然亭』はノンベエには溜まらない居酒屋のつまみのあれこれ、幸田露伴の『珍饌会』はある種のゲテモノ喰い話しだけれど、洒落っ気たっぷり、『ミートパイ』のオチも大笑い、『むかし気質の地主』は少しホロリとし、『鰻のパテ』はウナギと云えば、イギリスでしょと思いきや、やはり英国の王様の話し、千夜一夜物語からの『大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・バドレディンの物語』はエロくてドタバタのアラビアンナイト物語。岡本かの子の『食魔』は圧巻、そして久生十蘭は相変わらず軽快でリズミカルで美しい日本語、戦時下が舞台でありながらハイカラ、あ~~さすが十蘭。

さて今回驚いたのは、『食物奇談(二)』を読んでいた時。王朝説話というのは、出典は「今昔物語集」や「宇治拾遺物語」というから13世紀の説話集で、旧仮名ではないものの、決して現代文ではないから一瞬、取っ付き難そうに見える。ところがどっこい、これが面白いわ、楽しいわ、笑えるわで、笑いながら驚いてしまった。昔々、国語は好きだったが、古文は嫌いだった私が、まるで古文の教科書にでてきてもおかしくないような物語を、なぜ今笑って読めるのか??別に源氏物語に罪もなく(物語自体は途轍もなく楽しい)、枕草子の日本語はそれは美しいと思うのだけれど、英語じゃあるまいし、活用形を覚えさせられるとなると、そりゃあ、物語を味わうのは二の次になるわな・・・ 

久生十蘭好きとしては、『花合せ』を一押しにしたいところだが、今回は「宇治拾遺物語」にて、中世日本の笑いをお薦め。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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