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おっぱいとトラクター

タイトルでドン引きせずに、まあ、読んでみて下さい。
原作の英語版の存在は知っていて、レビューもいいものだから読もうかと思っていた矢先、偶然翻訳の方に出会ってしまい(既に翻訳が出ていたとは知らなかった)、文庫だけど、古本で450円で買えちゃったので、安さに負けて日本語で読みました。英語ならタイトルでドン引きせずに読めますよ→A Short History of Tractors in Ukrainian

おっぱいとトラクター (集英社文庫)おっぱいとトラクター (集英社文庫)
(2010/08/20)
マリーナ・レヴィツカ

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Marina Lewycka自身もウクライナ出身の両親を持ち、イギリスに移住してきたので半自伝的小説。

母が死んで2年。語り手のナージャは48歳の女性、大学講師で一児の母。そして犬猿の仲の10歳年上、バツイチの姉、ヴェーラ。二人の父、元エンジニアで84歳、「ウクライナ語版トラクター小史」という本を執筆中のニコライ。そして、ウクライナからやってきた36歳の金髪おっぱい美女ヴァレンチナとその息子、14歳のスタニスラフ。
84歳のニコライが、頭の中はイギリスのビザと、ニコライの財産だけが目当てのこのバツイチ金髪おっぱい美女に入れあげちゃって、”結婚する”と言い出したことから始まる、ドタバタコメディー。犬猿の仲の姉妹が、この大ボケ父さんの結婚を断固阻止しようとタックを組み、シャカリキになってあの手この手で奮闘する。

登場人物が揃いも揃ってアクが強く、会話もボケと突っ込みの応酬で、おっぱい美女はつたない英語ながら、毒舌吐きまくり。でも誰も彼もが自分の目的達成のためにグイグイ突き進むたくましさに圧倒され、どうにも嫌いになれない。ホームコメディーのドタバタに紛れて、両親・祖父母が生き抜いてきたウクライナの歴史も途中挟みながらストーリーが展開していく。最初から最後まで見事にドタバタしているんだけど、どこか品があり、ウクライナの歴史もセンチメンタルになり過ぎず、移民という社会問題まで含みながら、でもとどのつまりは普通の一家がただ家族を守り、生き抜くお話。家族の中で唯一、平和な時代になって生まれたナージャに、過去を決して語らなかった両親と姉。
「忘れた。わざわざ思い出すようなことじゃない。過去はこりごりだ・・・」
「知らなくて正解ってこともあるからね」


ボケまくりの父が最後にナージャに語る一家の歴史は、ヒーローでもヒロインでもないただの人間が生きてきた歴史。
「いいかね、ナージャ、生き延びてこそ勝ちなんだぞ」 
このお父さん、とてつもなく正気なインテリなのか、やっぱりタダの色狂いボケ親父なのかよくわからん。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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