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リカルディーナの肖像

ポルトガル作品はこの彩流社の「ポルトガル文学叢書」以外にないんじゃないかと思われるので、若干不安でもとにかく読んでいる。帯の言葉が、これ。
引き裂かれた二人の愛…一本の赤い糸で繋がっていた。自由を求める19世紀前半の激動の歴史を背景に展開されるポルトガル文学史に残る名作の初訳。
若干不安になる。引き裂かれた二人の愛? 一本の赤い糸?? だが、ポルトガル文学史に残る名作??? 不安は倍々で膨らんでいく。
リカルディーナの肖像 (ポルトガル文学叢書 (18))リカルディーナの肖像 (ポルトガル文学叢書 (18))
(2013/08/07)
カミーロ・カステロ・ブランコ

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これは、ポルトガルの大河ドラマ。しかもかなりベタなメロドラマの大河ドラマ。しかも翻訳が古典的というか何というか、出てくる人、出てくる人の口調が、これじゃあ、まるでみんな人格分裂だし、いくらなんでも栗羊羹はないだろうし (ポルトガルのおやつに羊羹があったのか?)、なにも関西弁調訳にしなくてもよいだろうろうし、自分の娘に”お譲ちゃん”とは云わんだろうし。メロドラマが喜劇になりそうだった。

1868年生まれ、ポルトガル・ロマン派の文豪カミーロ・カステロ・ブランコが描くのは、19世紀前半のポルトガル激動の時代の悲恋物語。ポルトガル文学で政治臭いものはほとんど読んでいないし、学生の時だって世界史で登場するポルトガルは、日本の貿易相手であり、大航海時代の中心国。王党派と反体制自由主義、xxx何世だのという王様は全く馴染みがない。これは悲恋大河ドラマだけれど、背景にあるのは、こうしたポルトガルの歴史と、貴族と賎民とカトリック教的道徳感。ヒロイン、リカルディーナの父はまさしく古式ゆかしい旧世代の象徴で、かなりの傲慢で不遜な神父様。この封建的なお父さんに象徴される特権こそ、作者カミーロ・カステロ・ブランコが敵対していたものだそうで、そう思うとこの神父様の描き方と、娘のリカルディーナが恋するベルナルドがまさしくそのアンチとなっているのが、ベタながら彼の主張なんだろう。しかしベルナルドが魅力的でないし(一端の責任は翻訳にあるけれど)、その封建的夫に逆らい、娘の側につくお母さんも魅力的ではないし、封建的家父長制度に反発せず、親の言うがままに結婚しちゃったお姉さんも、ある種被害者なのだろうけれど、同情はできない。時を経て、最後はお姉さんの残した一人娘の子爵夫人と、女手一つで育てたリカルディーナの一人息子が偶然に知り合い、恋に落ち、混乱の中で離れ離れになり、お互い死んだものと思っていたリカルディーナとベルナルドが再会し、というベタベタベタベタのエンディング。めでたし、めでたし。

実は同じ作家で、同じ翻訳者で「破滅の恋: ある家族の記憶」なる本も入手してしまった。どうも姉妹編らしい。タイトルからして相当に不安だ。「リカルディーナの肖像」以上の喜劇なんだろうか・・・ 
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