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秘書綺譚

買った理由が思い出せない。しかし、この光文社の古典新訳文庫は、文庫本があまり好きではない私でも、前言撤回したくなるほど、字も大きめであ~読みやすい。この本の後に昔の岩波文庫を見ると、開いた瞬間、 ”またの機会にしよう” と閉じてしまいそうになる。
秘書綺譚: ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)秘書綺譚: ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)
(2012/01/12)
アルジャーノン ブラックウッド

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『空家』
『壁に耳あり』
『スミス 下宿屋の出来事』
『約束』
『秘書奇譚』
『窃盗の意図をもって』
『炎の舌』
『小鬼のコレクション』
『野火』
『スミスの滅亡』
『転移』

芥川龍之介、江戸川乱歩が絶賛したイギリスを代表する怪奇小説作家の傑作短篇集。古典的幽霊譚「空家」「約束」、吸血鬼と千里眼がモチーフの「転移」、美しい妖精話「小鬼のコレクション」、詩的幻想の結晶「野火」ほか、名高い主人公ジム・ショートハウス物を全篇収める。

Algernon Henry Blackwood はイギリスの巨匠で、作品も多い(翻訳も多かった)。魔術結社に所属する魔術師でもあったというが、怪奇というが、おどろおどろしい怪奇現象が描かれる幽霊短篇集ではなく、怪奇現象に遭遇する人物の心理描写が上手いので、芥川龍之介、江戸川乱歩が絶賛するのも、そういうことなんじゃないかと思った次第。現代的なホラーとは違う、古典的な優雅さがそこにはある。

最初の数編、特に1, 2, 5, 6, 番目の4篇は、ジム・ショートハウスという男を主人公とする幽霊屋敷ものといった作品群で、その時点では、まあ、xx テレビの「世にも奇妙な物語」みたいだ・・・といまひとつ乗り切れない。人がいないのに、存在だけが感じられる、という怪奇現象に遭遇する主人公の葛藤は恐いというより、若干ユーモラス。しかしその怪奇現象はいったい何だったのか?というオチはないので、余韻は残るんだな。。。この4篇に登場するショートハウス氏は、同じショートハウス氏なのかと思いながら読んでいたが(だとしたら、怪奇現象にばかり遭遇する凄い人生だが・・・)、どうもキャラが違うので違うショートハウス氏であるらしい。『秘書綺譚』は、秘書経験者のブラックウッドの実生活がきっかけとなって生まれたのかもしれない。

ほのぼの感さえある幽霊屋敷ものが並ぶ前半から、後半になると怪奇はむしろ幻想になっていく。『スミスの滅亡』なんかは宇宙的でさえある(かなり好きだ)。そして最後の『転移』は変形吸血鬼ものだが、結局これが一番ゾッとした話しかもしれない。
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