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釘食い男

「ソラル」を経て、やっぱり「釘食い男」にたどり着く。ソラルの親族達、益荒男5人組の愉快で破天荒な物語。
釘食い男釘食い男
(2010/02/25)
アルベール・コーエン

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子どもの時に空腹のあまり釘を食ったというエピソードを持つユダヤ人の男マンジュクルーを親分として、サルチエル、ミハイル、マタティアス、ソロモンの益荒男5人組。ギリシアのケファリニア島に住む彼らは、遺産を受け取るためにスイスのジュネーブへと乗り込む。そこの国際連盟にいるのが、ソラルなわけだが、今回はこの益荒男たちの大活劇。彼らがどれほど破天荒かは、とにかく全篇破天荒なので、なにもかもが唖然。。。
 「嘘をつくこと/ささいなことであっても」
と家の掲示板に書き、子どもたちに「みんな、本当のことは言わなかったろうな?」と尋ねるマンジュクルー。そろいも揃って大法螺ふきの彼らの会話は、まさに法螺合戦を繰り広げる無邪気な子供のようだけれど、そのくせ、文学から芸術までを語りまくるマンジュクルー。常識はないかもしれないが、教養はあるのである。それでも根底には絶対的な真理があり、愉快で楽しい大冒険を繰り広げながら、世の中からは決してリスペクトを受けることのない存在。大笑いの果てには、もの悲しい現実が残る。

舞台となった1930年代はナチスが台頭する時代。ジュネーブに本部を置く国際連盟は無力化している。アンチユダヤの空気が充満し、そこで働く者たちにその危機感はなく、我が身の出世と保身に奔走する。

元々、「選ばれた女」があまりにも長すぎるということで、それを分割させたのが「釘食い男」だそうで、300ページくらいまでは、益荒男たちのとんでもぶりだが、最後の100ページ弱はほぼ、のちソラルの恋人となるアリアーヌの夫でソラルの部下、アドリアンの物語。ソラルとアリアーヌの出会いも含め、この俗物男アドリアンのお馬鹿なモノローグが続く。この100ページ弱は、あ~そうだったと思い出して懐かしくなるような「選ばれた女」のあのくどさ(笑)が続き、ちょっと嬉しくなる。でも、作品としては、やっぱりこのスピンオフ的な作り方には無理がある。「釘食い男」であれだけ、前半楽しませてくれたのなら、全篇最初から最後まで、突き進んで欲しかったところ。結局益荒男たちの大活劇はなんだか途中で終わった感があり、ちょっと残念。
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