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Love and Obstacles

Aleksandar Hemonを知ったのは、もう10年位前になるが、「ノーホエア・マン」を読んだ時。移民の国アメリカはとてもひとくくりにできないくらい、様々なルーツを持つ人々のるつぼだが、Aleksandar Hemonはボスニア、サラエヴォの出身。
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(2010/05/04)
Aleksandar Hemon

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1992年28歳でアメリカに滞在していた際、紛争で難民となり、その後、英語作家となることを決意したそうだが、文学の主要な各賞レースにもよく登場し、評価は高い。「ナボコフの再来」というキャッチコピーはナボコフがそもそも、「ロリータ」で止まっている私には判断もつかないのだが(ナボコフ的なるものは何なんだろう?)、「ノーホエア・マン」を読んだ時のぼんやりした記憶に、ネガティブ要素はなかったので、珍しくアメリカ文学に手を出す。こちらは短篇集。で、どうだったのかというと、英語がネイティブじゃないからってこともないが、結構難しい。見知らぬ単語が多いってこともさることながら、この人かなり構成に凝るタイプで、問題はそこかも知れない。

Aleksandar Hemonは意図してアメリカに亡命したわけではなく、そして母国の紛争も結局対岸で眺める羽目になったので、渦中で悲惨な経験をしたわけではない。短篇の中では、サラエヴォでの少年時代や、10代の頃のアフリカ体験、真実でないものをことごとく排除しようとする父親の話し、紛争後サラエヴォに戻ったときの話しなど、あきらかに自信の経験が基になっているのだろうが、私小説ほどの生々しさはなく、やはりそこから創造されたフィクション。

最初の「Stairway to Heaven」はアフリカが舞台だが、いやはや出だしはやたらかっこいい。コンラッド的なる(??)アフリカの夜の描写なのだが、その次の篇からは中だるみをし、「The Bees, Part 1」で事実だけで自分の半生の映画を撮ろうとする父親の話しにクスっと笑い、最後の「The Noble Truths of Suffering」で、ようやくぼんやりとそういうことなのね・・・と見えてきたというなんとも心もとない終了の仕方。”実際にそこにいなかった” 自分の立ち位置を自分でどう咀嚼すればいいのかという葛藤ってことか。実際に紛争の真っ只中を潜り抜けた同郷の詩人とやりとりを収めている篇もあるのだが、その時事ニュースレベルの紛争を語れる詩人と、遠くから眺めざるを得なかった作者の苛立ち(なのか?)が、すなわち、Aleksandar Hemonが外国語である英語で作家になろうした理由のような気がする。「The Noble Truths of Suffering」で登場する、ピュリッツァー賞を受賞した作家リチャード・マカリスターも、まさしく時事ニュースレベルの紛争を語る人物で、ベジタリアンで酒を飲まず、仏教の修行僧的な精神を持つマカリスターに主人公が酔って絡むのだが、彼に対する反感はひっくり返すと憧れでもあるのかも知れないが、結局そうはなれない自分。しばらくしてマカリスターの作品に、その時のエピソードが使われていることを知り、この本はそのパクられたエピソードで終了する。

とにかく、出だしと最後がやたらカッコいい。カッコいいからいいか・・・
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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