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プロタゴニスタ奇想譚

1976年の本などアマゾン商品検索しても絶対に画像付はないだろうと思ったが、案の定なかった。画像はぐぐって探したものだが、残念ながら私の読んだ古書は判定「可」の日焼け品で、帯も当然ない。ググって探した画像で初めて帯の言葉を知った次第。あら、案外そのまま活字にしちゃったんだ。そう、この本はペニス君の話し。

プロタゴニスタ奇想譚 (1976年) Luigi Malerba
プロタゴニスタ奇想譚

Luigi Malerbaの邦訳は3冊のみ。最初は「皇帝のバラ」 そして、「スーパーでかぶた」 最後がこの「プロタゴニスタ奇想譚」

”カフカ、ボルヘスに衝迫して全世界を驚かせた鬼才マレルバ” 
という帯の言葉があったが、あながち法螺ではないかも知れない。”超現実的で、アレゴリックで、奇妙に生々しく、不思議な幻覚を強いる、苛酷な現代の寓話” は今回も健全で、3冊しか読めないことが本当に残念。

さて小さくて読みにくいがこれが帯を飾る文章。
吾輩はペニスである。名前は無論ない。どこで生まれたか、とんと見当がつかぬ。なんでも気がついたら、アマチュア無線家の、薄暗いじめじめした部分に鎮座していた。この吾輩の主人というのが大いにべらぼうな人物で、女とみれば手当たり次第。果ては、鯨のヴァギナ、鋳物の暖房装置、広場の銅像の馬のお尻、博物館のミイラ女、ローマの丘の隧道にまで手を出し足を出すという始末だ。勇猛果敢はいいが、どうも盲滅法の観があって、吾輩は実に弱った…。

奇想天外でナンセンスで可笑しくて、でもシモネタ卑猥談では全くない。むしろ前衛的で不思議に悲しい物語だった。

主人公はペニス君だが、このご主人たる「ボス」は何者なんだがいまひとつはっきりしない。夜な夜なアマチュア無線器を駆使し、もっぱら女性のハム相手を探し、無線を通じていかがわしい行為に及ぶという御仁である。無線を通じて知り合った女性をローマの自宅に呼びつけておきながら、どうもその気になれない主人は、異臭を放つ雌鯨の剥製や、博物館のエジプトミイラ、馬の銅像の尻とやっちゃおうとする変わり者で、ペニス君もすっかり奇妙な冒険を一緒にする羽目になるのである。雌鯨やミイラにうつつを抜かし、ほったらかされた女性は、服毒自殺をしてしまうが、死体になってようやく執着するご主人。決していわゆる変態でもハンニバルでもなくただの変人で、どちらかと云えば弁の立つ皮肉屋。要はご主人とその一部をなすペニス君という設定が変なだけで、内容は至極まともで途中文学論まで織り交ぜている。

Luigi Malerbaは非常に言語感覚が鋭敏だったそうで、邦訳ではどうしても伝えきれない言葉の含みなどがあるらしい(翻訳家泣かせ・・・)。たった3冊の本しか紹介されていないが、間違いなくイタリアの鬼才。2008年に亡くなっているので、新刊が出ることはないのだが、せめて3冊揃えて復刊を願う。
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