Entries

自在の輪

この珍しいい本は何かというと、1970年代に刊行された新潮社の「叢書 創造の小径」 全18巻のうちの1巻。こんなものを入手したのは、古本カフェが仕入れてきたから以外にあり得ないんだけれど、Amazonをみていたら、結構イイお値段がついていてびっくりした。

自在の輪 (叢書 創造の小径) ピエール・アレシンスキー 出口 裕弘・訳
自在の輪

「叢書 創造の小径」の凄さは、本家本元の企画も凄いが、翻訳にあたって日本がセレクトした翻訳者も凄い。画家だとか、作家だとかという区分けは、20世紀になってからはもうあまり意味を成さないのかもしれない。知と美の結集ってとこか・・・ (下世話な言い方をすれば、画家だって絵筆1本で寡黙に絵を描くだけじゃなく、文章のひとつも書くような、総合的芸術家であることが要求されてきたってこと?)

「イカロスの墜落」   パブロ・ピカソ   岡本 太郎・訳
「表徴の帝国」   ロラン・バルト   宗 左近・訳
「絵画のなかの言葉」   ミシェル・ビュトール   清水 徹・訳
「悪魔祓い」   J・M・G・ル・クレジオ    高山 鉄男・訳
「道化のような芸術家の肖像」   ジャン・スタロバンスキー   大岡信・訳
「素晴しき時の震え」   ガエタン・ピコン、   粟津 則雄・訳
「ボナ わが愛と絵画」   アンドレ・ピュエール・ド・マンディアルク   生田 耕作・訳
「冒頭の一句 または小説の誕生」   ルイ・アラゴン    渡辺 広士・訳
「盲いたるオリオン」   クロード・シモン   平岡 篤頼・訳
「石が書く」    ロジェ・カイヨワ   岡谷 公二・訳
「発見」   ウージェーヌ・イヨネスコ    大久保 輝臣・訳
「想像力の散歩」   ジャック・プレヴェール、   粟津 則雄・訳
「自在の輪」   ピエール・アレシンスキー    出口 裕弘・訳
「マヤの三つの太陽」   M・A・アストゥリアス   岸本 静江・訳
「ことばの森の狩人」   エルザ・トエルザ・トリオレ   田村 俶・訳
「世界の記憶」   アンドレ・マッソン   東野 芳明・訳
「大いなる文法学者の猿」   オクタビオ・パス    清水 憲男・訳
「仮面の道」   クロード・レヴィ=ストロース   山口 昌男・訳 

この叢書はごっついハードカバーにケース入りという現代だと敬遠されそうな装丁で、1970年代にして概ね5,000円台のお値段で発売され、当時いったい誰に買わせるつもりで企画されたんだろうと、貧乏くさいことをひとしきり考えた。誰が買うのよ、ということではなく、こんな本を出してもいい時代だったのだと思うと、今より豊かだった。デジタル本もいいが、この持ち運びには絶対に適さない重い本は、物理的にも重いのだが、思想的にも重いのよね。

このアレシンスキーという画家は1927年生まれのベルギーの人だが、こんな解説をこちらで。
ラ・カンブル美術学校で書籍装飾とタイポグラフィを学ぶ。当初はキュビスムの影響下にあったが、アンソールの作品を知り表現主義的色彩を強める。「若きベルギー絵画」「コブラ」などの運動に参加。1951年パリに移住し、翌年ヘイターの版画アトリエで学ぶ。日本の書にも興味を持ち、森田子龍の「墨美」グループと交流。1955年には来日して映画「日本の書」を制作している。1960年代初頭にアメリカを訪問して以降油彩を放棄し、アクリル画や版画を制作。1987年、ベルギー王立アカデミー会員となる。渦巻くような独特の魅力的な線による、幻想的ヴィジョンに満ちたエネルギッシュな作風を特徴とする。
nsts-01787-8本の内容は自身の作品だけででなく、様々なコラージュ+断片風エッセイ。時代的にはアンドレ・ブルトンたちのシュールレアリズム運動の後の世代で、ブルトンへの崇拝(畏怖といってもいいかも)も随所に登場する。

古本カフェはあと7~8冊揃えてくれているのだが、2,000円を超えるくらいでビビッてしまう私が、いくら素晴らしいからとまとめ買いのようなことはできずに、毎週眺めて終わっている。「石が書く」というタイトルが気になって、アマゾンに見に行ったら、9,238円と云われて、即閉じてしまった。ロジェ・カイヨワは哲学者らしい。しかし、1冊読んで眺めて思索してみると、さて全巻制覇は夢としてももう1冊くらいは持っていてもいいんじゃないかという妄想にかられている。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/517-8a5e0ab7

トラックバック

コメント

[C475]

オクタビオ パスの「孤独の迷宮」の記事はないかなと検索したら、この記事にきました。なんだかすごい魅力的なシリーズですね。読んでみたいのがいっぱいありますが、図書館で探せるかなあ。ムリ???
  • 2016-12-17 01:17
  • mAr
  • URL
  • 編集

[C476] Re: タイトルなし

このシリーズは凄いです。図書館で見つかるといいですね。

この古本カフェでそもそも買ったのですが、私が知っている限りシリーズの中の数冊がまだ残っているんじゃないかと思います。もし東京にお住まいでしたら、是非。
http://www.bousingot.com/

  • 2016-12-17 20:43
  • Green
  • URL
  • 編集

[C478]

Green さんのいう古本カフェはどこなのかなあと思っていたので、教えて頂きありがとうございます。
私も神奈川県民です。ちょっと遠いけど、訪ねてみます。
  • 2016-12-18 19:02
  • mAr
  • URL
  • 編集

[C479] Re: タイトルなし

東京を脱出して1年半、私もとんと訪ねていませんが、是非・・・
  • 2016-12-18 20:28
  • Green
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
1 2 3 4 5 67
8 9 10 11 12 1314
15 16 17 18 19 2021
22 23 24 25 26 2728
29 30 31 - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア