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最後のロマン主義者~バルベー・ドールヴィイの小説宇宙

最後のロマン主義者とは、「デ・トゥーシュの騎士」のバルベー・ドールヴィイ。この本の翻訳をした中条省平氏を知ったのは、ダニエル・ペナック 「人喰い鬼のお愉しみ」を読んだ時。翻訳者というより、フランス文学の研究者で、専門は19世紀あたり。光文社古典新訳文庫では、この時代の作品の新訳を結構出している。「デ・トーシュの騎士」や、「人喰い鬼のお愉しみ」でその翻訳の上手さは存じていたが、こんなxxx論的なものを書いても、なかなか読ませてくれる。評論もいいが、作品を読まずして評論を読んじゃうのもどうかと思うので、私はあまり読まないが、これは論の展開、話の運びが上手くて、くいくいと読めてしまった。
最後のロマン主義者―バルベー・ドールヴィイの小説宇宙最後のロマン主義者―バルベー・ドールヴィイの小説宇宙
(1992/09)
中条 省平

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最後のロマン主義者

サドを超える残酷とエロス ~ 悪魔的なエロティスム、暗黒小説の残酷趣味、反時代的なダンディズム。世紀末のデカダンス美学を体現し、〈宿命の女〉に憑かれた異端の幻想作家を通して19世紀の〈知〉の見取図を解剖する。

帯の言葉はちょっと煽っているけれど、エロスや残酷趣味に惹かれて読み始めようと、興味深いのは ”19世紀の〈知〉の見取図” の方だった。バルベー・ドールヴィイなる日本ではいまひとつ忘れられている怪人(?!)の怪人ぶりだけでなく、彼が生きた時代と当時の文人たちの関係は、大学で面白い講座を聞いているようで、フランス文学を知った気になるという大いなる誤解をするほど、面白く読ませてもらった。

バルベー・ドールヴィイはノルマンディーの没落貴族なのだが、反時代的なダンディズム、貴族主義、カトリシズムの旗印をかかげて文壇に君臨し、《文学元帥》のあだ名をいただく、という簡単にいうと変わり者。生前は小説家としてよりも、文芸評論家の方で有名だったらしく、同時代の作家たちのうちバルザックは評価していたが、ユゴー、フローベール、ゾラに対してはかなり辛辣な酷評を下している。彼らとは相思相愛の真逆をいく関係で、酷評も一方通行ではなく、双方で酷評しあっていたようで、評論は文学的だがこれは嫌味合戦。バルベー・ドールヴィイのダンディズム、貴族主義は、時代錯誤で ”現実感が絶対的に欠如している”、と揶揄されるようなダンディズムであり、つまり滑稽で一種、嘲笑の対象だった。それだけだったらただの変人で終わったのだろうが、彼の作品は、ボードレール、ユイスマンス、プルースト、ブルトンらに愛読されたというから、良くも悪くもやり過ぎるところまでやってしまうと、それはもう美学なんだろうな。。。

中条省平氏にのせられて、「デ・トーシュの騎士」以外に何が読めるんだろうと、Amazonを探っていたら、この本でさんざ登場した作品がまとめられた「悪魔のような女たち」(翻訳は当然中条省平!)があった。なんだ・・・ ということで、ポチっとしてみた。
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