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ローマのテラス

パスカル キニャールをもうひとつ。こちらもなかなかステキな装丁。2000年度のアカデミー・フランセーズ小説大賞受賞作。だが、130ページで¥1900はちと痛い。
ローマのテラスローマのテラス
(2001/07)
パスカル キニャール

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この人は、言葉が少ない人なんだな。物理的な行間も広いが、描写の行間も広い。散文詩といったほうがいいくらいの細かい断章が46(それでもやっと120ページ)。後半は時系列も崩れてくるので、ますます断章の色合いが強い。

キニャールが偏愛している17世紀、バロックの時代。版画家モームはブリュージュでナンニと出会い、必然のように愛し合い、ナンニのl婚約者から硝酸で顔を焼かれ、醜い顔となり、そして悲惨な別れをする。そこからの彼は人生そのものを避けるような放浪生活を送る。途中でモームの死が挿入されるが、その後も生前の場面に時間が逆行し、モームが語り続ける。あまりにも文章がそぎ落とされているが、ミニマリズムというのが、必要最低限のことしか書かないというより、何を書くかは作者に委ねられているので、必要最低限は読者にとっての必要最低限ではない。静寂な文章は、読者にも寡黙を強い、ひたすら行間を埋めるように読むわけだ。

モームの創作するエロティックな版画、ローマの焚書で焼かれたモームの作品、静かでありながら、そぎ落とされた文体には高いテンションがある。そんなテンションを体現したモームの創作した版画とはいったいどんなものだったのか、その道には全く疎い私には想像できないが、こんなサイトを見つけた。
「版画の技法」
これが版画? 黒のグラデーションの厚みと静けさはまさに「ローマのテラス」の世界のようだ。
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