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人形

レオ・ペルッツをもうひとつ読んでやろうと、『書物の王国4 月』を探しに本棚に行くと、あら?これは既読本だ。。。あまりの記憶力の悪さに唖然とした。そうだったかもしれない。。。ま、とにかくレオ・ペルッツの 「月は笑う」 を再読してみた(ほぼハツモノの気分)。折角なので他の『書物の王国』 に行くことにしよう。
人形 (書物の王国)人形 (書物の王国)
(1997/12)
種村 季弘、エルンスト・テーオドア・アマデーウス ホフマン 他

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人形幻想(種村季弘)
蒲団の国(スティーヴンソン 水谷まさる訳)
クルミ割り人形とネズミの王様(ホフマン 前川道介)
しっかり者の錫の兵隊(アンデルセン 大畑末吉訳)
マルスリーヌ(レニエ 志村信英)
彫像の呪い(ハーディ 高畠文夫訳)
代書人(ゲルドロード 酒井三喜訳)
女王人形(フエンテス 木村榮一訳)
人形つくり(北原白秋)
泥人形の兄(紀いん『閲微草堂筆記』 武田武彦)
人形奇聞(高古堂主人『新説百物語』 須永朝彦)
承久二年五月の夢(明恵上人『明恵上人夢日記』 服部正訳)
人形つかい(日影丈吉)
雛がたり(泉鏡花)
人形(江戸川乱歩)
ものいう人形(柴田宵曲)
マリオネット劇場について(クライスト 佐藤恵三訳)
悪魔の創造(澁澤龍彦)
ピュグマリオン(ブルフィンチ 野上弥生子訳)


のっけは、種村季弘氏に ”あどけないのに無気味であり、可愛らしいのに怖い” と云われてしまう。あどけなさ、可愛らしさには、妖しく冷ややかな戦慄が隠されている、それが人形だ・・・・ 人形供養をしてしまう気持ちもわかる。そういえば子供の頃、雛人形を夜見ると怖かった。昼間は艶やかなお雛様も、夜になると一転、イヒヒヒ・・・と笑い出すような無気味な人形に変身する。さらに人形の魅力の必須要件は、”滅びの予感” をたたえていること。人形は最後には壊れなければならず、新しい人形よりも崩れ落ちた人形の方がはるかに妖しい魅力を湛えているのは、”その背後の虚無が傷口のように生々しくそこに露出しているため” なんだそう。そんなこわ~~い、レクチャーを受けた後、物語りが開始する。

「クルミ割り人形とネズミの王様」 「しっかり者の錫の兵隊」 は童話だと思っていたが、↑のレクチャーを受けてしまうと、童話がホラー小説に化ける、いや、これってホラー小説だよね。 「マルスリーヌ」 や 「彫像の呪い」 はもう立派なゴシックホラー小説。この巻は、様々なというより、 人形の持つ (渋澤龍彦のいう) ”形而上的不安” をこれでもか!というくらい並べ立て、こわ~~くて、でも読みだしたら止まれない作品を次々に展開させてくれる (真夏にはもってこい!)。 

その中でちょっと異彩を放つのが、フェンテスの「女王人形」 と 日本代表「人形奇聞」。
ヨーロッパ勢が並ぶ外国文学でラテン代表はこれのみ。ひんやりとした違う空気の作品。主人公の幼少時代の甘美な思い出と、数十年後の恐ろしく悲しい現実が凄い。
「人形奇聞」は何が面白いかといえば、人形が拾ってくれた僧侶に 「ととさま、ととさま」 と、しつこく追い回すところ。最初は、いい土産に過ぎなかった人形が、次に出会う人は・・・・ などといちいち予言をするもので、不気味になって捨てようとするのに、人形は必死にすがりつく。どうしたものかと僧侶が宿の主人に悩みを打ち明けると、対応策を伝授してくれて、晴れて無事(?)、川に流して突き放し成功。なんともとぼけた話しだった。

本来無機質である人形それ自体が、動いたり喋ったりしているうちはいい。が、人の妄想/幻想の中で動く人形は怖い。人形の怖さは結局、人間の持つ内面の(往々にして形而上的な)闇が人形に反映されるときで、それは顕在化しない不安を写したもう一人の ”私” になる。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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