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十蘭ラスト傑作選

これが立て続けに5冊買った十蘭の最後。シリーズ全7巻の実際に最後を飾った最終巻でもある。全7巻ってことは私は2巻ミスっているわけだ。アマゾン探索に行って来よう。あ、そして青空文庫でダウンロードしたままほったらかしの「魔都」があったし、実は最近結局文庫で買ってしまった「顎十郎捕物帳」を網羅し、更に「平賀源内捕物帳」まで網羅した「日本探偵小説全集8~久生十蘭集」なんていう分厚い本もあったんだった。
十蘭ラスト傑作選 (河出文庫)十蘭ラスト傑作選 (河出文庫)
(2013/06/05)
久生 十蘭

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今回は戦争物が多い。
「風流旅情記」
「蠶」
「雪原敗走記」
「フランス伯N・B」
「幻の軍艦未だ応答なし
「カイゼルの白書」
「青髯二百八十三人の妻」
「信乃と浜路」


もうさんざ褒めたので、褒め疲れた。しかし出るもの出るもの、これだけハズレを作らないってどういうことよ。。あとがきは再び、阿部日名子、題して「戦争を笑いのめす」。笑い飛ばしてはいない、笑いのめすのである。どんなに悲惨な状況を描こうとも、必ずその中にユーモアを込める。が、その込められたユーモアにホッとするどころか、それがかえって悲惨な戦争を炙り出す。

玉砕を謳って人をも自分をも袋小路に追い込む愚を嫌い、どこまでも面白おかしく、非日常から日常を紡ぐ人間の胆力を描いては、返す筆で、その肝っ玉もろとも人間を吹き飛ばす戦争の非情を炙りだす・・・・・これが戦中戦後を貫く十蘭の筆法だ。「風流旅情記」をはじめ戦争ものは、このたじろがぬ笑いに満ち満ちている。

「風流旅情記」は従軍経験もある十蘭ならではの、戦争という非日常を日常として生きなければならない貧しい人々の可笑しくも悲しい戦争の物語。可笑しいからこそ、悲しいのである。
「雪原敗走記」はナポレオンのロシア遠征の顛末。寄せ集めの混成軍に士気などというものは全くなく、物資補給計画のずさんさと極寒のロシアの気候、飢えた兵士たちの傍若無人ぶりは、笑ってはいけないのに笑ってしまい、そして、これがあのロシア遠征の実態だったとしたら、その後ぞっとする。

ああ、そうだった。本格的に十蘭ののめり込むなら、国書刊行会の『定本久生十蘭全集』、¥10,000 x 12冊 ってのがある。
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