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その時は殺され・・・・・・

タイトルの最後の点は確かに6個。意味不明なタイトル。ちなみにオリジナルのスペイン語タイトルは「Que me maten si…」。ここからも全く想像不可。Rodrigo Rey Rosaは、名前さえ知らなかった南米はグアテマラの新進作家(といっても、今となっては彼ももう56歳)。グアテマラ生まれの彼は、20代で祖国を飛び出し、モロッコはタンジールでその頃暮らしていたポール・ボウルズのワークショップに加わり、そこで才能を見出され、ポール・ボウルズが自ら英訳をし、世界に送り出された。ポール・ボウルズと云われると、ちょっと唸ってしまう。ポール・ボウルズとかウィリアム・バロウズは(トルーマン・カポーティも加えてもいいが・・・)はちょっと苦手だ。ハチャメチャなジャンキーというステレオタイプのイメージから抜け出せないまま(つまり、さして期待もせず、胡散臭げに)読み出したら、大ハズレだった(つまり、ヒット!)
その時は殺され…その時は殺され…
(2000/01)
ロドリゴ レイローサ

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ここに描かれる世界でラテンアメリカを感じるのは、あっけなく死んでいく3人の登場人物をとりまくグアテマラの不気味で非現実的な現実。現代作家らしく、作風は乾いていてAdolfo Bioy Casares風? 舞台もグアテマラ⇔ロンドン⇔パリと、新旧の大陸を往復する。そこに従来感じるような土着的な暑苦しさはほとんどないが、私たちの常識では測れない非日常的な日常は、ラテンアメリカの世界だ。パリのグアテマラ人、グアテマラのヨーロッパ人。どちらの異邦人にも実態がないような異質な感じがする。

大学に通う元軍人のエルネストが、エミリアという女子大生に出会い、彼は彼女に好意を持つ。そして二人で一緒に旅に出る。そこで出会うのは、老イギリス人夫婦のルシアンとニナ。実は冒頭は、この夫婦のイギリスの自宅場面から始まる。85歳になるルシアンは補聴器が不可欠の物書き。そしてエミリアとは知り合いらしいということが、ほのめかされている。が、その後、この4人とエルネストの友人ペドロ、エミリアの彼や、旅先で出会う人たち。誰がどう繋がっているのか、全く説明されないが、明らかに誰かが誰かと繋がっていて、不気味色がどんどん濃くなっていくのに、相変わらず何も明かされず、人がたった数行の記述で死んでいく。それは恐怖以外の何ものでもない。190ページ足らずの中篇といっていいこの本は、物理的な行間も広いが、中身の行間も広い。その広さが怖い。

読後のショックは久しく味わっていなかったショックで、Bolanoに初めて出会った時を思い出した。そうそう、あの時も、急いでアマゾンでBolanoを探しまくったのに、結局自分が今読んだ本が、本邦初だとわかって、さあ、困った。今回はあと2冊邦訳があることがわかり、ポチ。そしてこれは無謀だと思いつつ、英語版をポチ。この英語版はポール・ボウルズ・訳なんだろうか?
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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