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責苦の庭

「碧玉の杖」ですっかり 「フランス世紀末文学叢書」 が気に入った。そんな矢先、狙ったのかどうかは定かでないが、古本カフェがドカドカとこのシリーズを仕入れてきた。それは、サァ、買っとくれ!というサインだと素直に受け止めることにした。
責苦の庭 (1984年) (フランス世紀末文学叢書〈5〉)責苦の庭 (1984年) (フランス世紀末文学叢書〈5〉)
(1984/06)
オクターヴ・ミルボー

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このシリーズ、国書刊行会の紹介文はこんな風。
爛熟と頽廃の19世紀末――物質的な繁栄をみながら精神的に荒廃したこの時代に、俗世界へ背を向け、絶対の彼方にありうべからざる人工楽園を創出せんとした美の使徒たち。一時は忘却の底へ沈んだかにみえながら、ここ数年、にわかに脚光を浴びつづけている近代文学の源泉、フランス世紀末文学の最も香り高き作品を15巻に編んだ本邦初の一大アンソロジー。

「責苦の庭」なんてタイトルは今時の本じゃあり得ない。まさしく爛熟と頽廃の世紀末だ。こんなものを読んでいると仏文オタクになってしまう気持ちもわかる気がしてくる。現代の常識から考えると、桁外れの支離滅裂さと過激度具合。いくら古典だからといっても、絶対に誰にでもお勧めできそうにないし、間違いなくオトナ限定の書物だ。こってりとした爛熟エログロは、ヴィリエ・ド・リラダンを彷彿とさせる。「責苦の庭」なる不可解なタイトルは、本当に責苦の庭、つまり拷問のオンパレードの庭だった。しかもその庭は中国という想定だから、なにやら摩訶不思議なグロテスクさだ。途中で気持ち悪くなってきたが、その一線を過ぎると、主人公と彼が惚れてしまうクララなる女性との、ギャーギャーと騒がしい掛け合いが、可笑しくなってくる。

あんまり支離滅裂なので、Wikiにあったあらすじを丸ごとパクッてみよう・・・
小説はいわば一枚の「扉絵(フロンティスピス) 」から始まる。インテリたちの晩さん会のおり、議論は殺人のことになる。医者もモラリストも、詩人も哲学者もみな、殺人は、自然においても人間においても、生殖本能とひとしく、生存本能であると考えることで一致する。
落伍した政治家である会食者のひとり―その顔にはかりしれぬ苦悩のあらゆる跡をとどめている―が、ポケットから『責苦の庭』の草稿を取り出す。
第一部「調査派遣」で、彼の物語は、いかさま政治家としてのみずからの惨憺たる生涯、「発生学者」を騙ってのセイロン(現スリランカ)行き、そしてとんでもない人間どもとの出会い―その中に緑の目をした、赤毛の、「野獣のような金色のひとみの」宿命の女クララがいた―を自嘲的にたどってみせる。この男は彼女の官能性に屈し、磔刑への道を歩むことになる。
物語第二部―厳密にはこれが『責苦の庭』である―は二年後の話になる。広東―そこで無名の語り手はサディスチックで魅惑的な英国女性を追いまわすのだが―で、悦楽のきわみを味わうべく、彼女は彼に徒刑場を見学させ、もっともおぞましい―そして彼女にはもっとも喜びをあたえる―拷問の光景に立ち会わせる。そこでは豪奢で不気味な花々が拷問に苦しむ者たちの血と肉を餌食にしている。


旧大陸からやってきた主人公たちにとって、中国は理想郷として描かれている。重苦しく偽善と欺瞞に満ちた社会がフランスであるなら、中国は上っ面だけの虚飾を剥ぎ取った人間の本能のみがある。性も生も死も本能で、拷問も芸術の一端を担う。社会批判も自己批判も含んでいるんだろうが、まあ、そんなことはおいて置いて、クククと笑いながら、この腐臭ただよう世紀末を堪能しようではないか!

最後に絶叫を引用。
そうなのだ! 責苦の庭だ! 欲情も、食欲も、興味も、憎悪も、嘘も、そして法律も、世界制度も、裁きも、愛も、栄光も、ヒロイズムも、宗教も、すべてその庭のあやしい花々であり、人間を永遠に苦しめる醜い責め道具なのだ。
フランス恐るべし!
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流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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