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アフリカの海岸

久しぶりに見とれてしまう程の美しい本。鮮やかなブルー模様に艶やかなイスラム風文様は、この本の舞台となったモロッコのタンジェのイメージなのか?さて、「船の救世主」に続き、Rodrigo Rey Rosaの残る1冊がこちら。コストパフォーマンスの悪い150ページで1,800円也。でもこんなに美しい本なら許すゾ!今回も『初版第一刷2000部』だあ。
アフリカの海岸アフリカの海岸
(2001/09)
ロドリゴ レイローサ

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恐怖と狂気が漂う前二作と比較すると、こちらはどこか幻想的。ポール・ボウルズの元で暮らした自身のモロッコ時代をなぞっているのか、舞台となったモロッコのタンジェの風景は、足を踏み入れたことがないアフリカながら、ちょっと訪ねてみたくなる。土着的なモロッコ、占いや魔術、羊飼いの暮らしや、港の喧騒、その一方で西洋から輸入される文明機器に豪奢に暮らすフランス人。

捕らわれたフクロウと自由を失ったコロンビア人、羊飼いの少年とパリジェンヌ、モロッコはタンジェの街で一瞬だけ出会い、そのまま離散してゆくものたちの物語

田舎で暮らす羊飼いの少年ハムサ。一晩中起きて見張りをする仕事を言いつけられ、フクロウの目玉をくりぬいて不眠のお守りにしようとする。一方、コロンビアからモロッコにやってきて、パスポートを失くしてしまった男。パスポートの再発行のために訪れたコロンビア大使館では、一度もコロンビアに行ったことのない、やる気のないアメリカ人が名誉領事を務めている。男は、ふと道端で売っていた美しいフクロウを手に入れるが、泊まっていたホテルで動物は飼えないので、追い出されてしまう。安ホテルに移った男は、ジュリーという女性と知り合い、マダム・シュワゼールの邸宅に宿泊する。金もなく故郷での仕事も失い、コロンビアに帰るはずが、ズルズルとタンジェに居残る男。いなくなったフクロウを探して、ようやく見つけたのは、ハムサの家。傷をおったフクロウはハムサあげることにし、そして男は怪しい仕事を引き受け、対岸のスペインに渡るが、そこで引き起こした事件で、刑務所に入ることになってしまう。再びハムサの元を訪れたジュリーは、そこで元気になったフクロウを買い戻そうとする。

粗筋なんか書くんじゃなかった、と少々後悔した。一応プロットはある。小難しい話しでも何でもなく、土着的なモロッコの暮らしをしながらも、キフ(麻薬)を吸い、やや異常な性欲を持つ少年と、落ちていくコロンビア人の男、フランス人女性のジュリーが、フクロウを介して一瞬すれ違う。ただそれだけの話しだ。そこにオチもないし、結末もない。それぞれの人生が少しずつ語られ、それらはどちらかといえばバラバラの印象だが、場面展開は明確でむしろ大胆だ。だが、それぞれのエピソードとも云えない小事件の中には、幾重にも重なり合う多様なものがひしめいている。

嗚呼、これで邦訳が尽きてしまった。が、本の帯にはこんな文字があった。
以下続刊。『静かな湖面』 『樹林の牢獄』
しかし、この2冊はこの世に存在していない。「アフリカの海岸」が出版されてから、既に13年が経過している。気長に待てばいいのか?
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[C472]

「アフリカの海岸」を読んでいて、あとがきにあった「静かな湖面」と「樹林の牢獄」はどうなった?とネットで調べて見たら昨日こちらのブログを見つけました。私もレイローサの作品気に入っているのです。3冊とも読みました。その後の2冊楽しみですよね~。出版されないのかな~?
私はスペイン語の勉強のために最近スペイン、南米文学を読んでいます。
それにしてもGreenさんの読書量すごいですね。ブログ楽しみにしてます。
  • 2016-11-17 22:39
  • mAr
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[C473]

mArさん、こんにちは。コメントどうもありがとうございます。
2年前のことで、Rodrigo Rey Rosaのことを忘れてました。コメントをいただき、あらてめて自分の記事を読み直したり、性懲りもなく、よもや新刊がないかと探してみましたが、やはりないですね・・・
Paul BowlesにもRoberto Bolaño にも評価されながら、しかもRoberto Bolañoなんて、ガイブンの世界ではちょっとしたニュースであったのに、Rodrigo Rey Rosaは陽の目を見ませんね。でも数少ない読者のコメントを見つけては読んでみると、とても評判がよいのです。
結局、英語版で未邦訳をまたぽちっとしてしまいました。

スペインはなかなか本が見つからないのですが、南米は宝庫です。しかもいろんな意味で幅の広い世界です。

またどうぞお越しください。
  • 2016-11-18 14:40
  • Green
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Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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