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探偵ダゴベルトの功績と冒険

世紀末ウィーンの華やかなブルジョワ社交界を舞台にしたディレッタントなアマチュア探偵、ダゴベルト・トロストラー。今まで登場してきた探偵とは、何やらちょっと毛色が違う。ダゴベルト自身は貴族ではないのだが、十分に資産がある高等遊民。探偵はあくまで、音楽と並ぶ彼の趣味である。資産家で実業界の大立者であるアンドレアス・グルムバッハの邸宅をしょっちゅう訪れては、グルンバッハとその妻ヴィオレット相手に、葉巻と珈琲を楽しみつつ、自分の解決した事件を語って聞かせて楽しませる、という絢爛たるオーストリア=ハンガリー二重帝国時代の探偵さん。
探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)
(2013/04/20)
バルドゥイン・グロラー

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バルドゥイン・グロラーは、オーストリアのコナン・ドイルと称されたらしいが、ストイックな探偵でも、洒落っけたっぷりの探偵でも、ユーモア満載の探偵でもない。トリック証しはあるものの、2-3篇読むと、どうも探偵物というよりは、ハプスブルク朝末期の優雅なブルジョワ社会の虚飾に満ちた世界を覗き見る楽しみの方が大きいと気づく。ダゴベルトのお客様はというと、これはもう有閑階級の人たち。彼らに超がつくほど重宝がられ、感謝されまくるダゴベルトの価値は、隠密裏に犯罪を解決し、決して表沙汰にはせず、上手いこと丸く納める、ここがポイント。つまりは、上流階級のスキャンダル揉み消し屋ですな・・・ そういう意味では、謎解きミステリーの面白さにはちょっと欠ける。ウィーンのシャーロック・ホームズをイメージしてしまうと、あの青筋立てた麻薬中毒探偵のマニヤックな魅力は彼にはない。

仲良しの上級警部のヴァインリヒ博士は、彼の才能と腕前を絶賛し、秘密裏の捜査を依頼し、グルンバッハの妻ヴィオレットは、ダゴベルトに陶酔し、彼の武勇談にうっとり聞き惚れるし、何だが皆が皆、ダゴベルトを褒めまくり、一方のダゴベルトは、一応謙遜するのだが、いやあ、彼だって自分の才能には一角の自信があり、まんざらでもないって感じ。ディレッタントな探偵らしく、彼の語る謎解きは話しがどうも長いのよねえ・・・ 優雅さと騎士道精神がウリなのだから仕方ないが、犯罪は、恐喝、宝石類の窃盗、詐欺の類で人は死なない。で、庶民的な正義感はここにはない。なくてもいいけど、3篇くらい読むとちょっと飽きてくる。

その優雅で古風なダゴベルトの風貌は、”頭頂部が薄くて使徒ペテロ風” らしいが、この使途ペテロ風がどんなかというと、どうも装丁の写真のような風貌らしい。探偵というよりは怪しい詐欺師に見えるのは、私だけだろうか?
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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