Entries

運命綺譚

「草原に落ちる影」以来、ちょっと休憩したが、再び。こちらはカーレン・ブリクセン名義。

運命綺譚 (ちくま文庫)運命綺譚 (ちくま文庫)
(1996/10)
カーレン ブリクセン

商品詳細を見る
相変わらずよいなあ・・・ よい、だが、それだけでもうそれ以上語ることがなくなってしまった。

空を飛べなかった神学生は、海と魚の世界に幸福を見出して真珠採りになり(「水くぐる人」)、旅廻り一座のマリは船主の息子と恋に落ちるが、孤独な天職に戻り(「あらし」)、カントンの大富豪は物語を実現しようとして失敗し(「不滅の物語」)、羊泥棒にでくわした新妻は、すべてが変わってしまう。人間のさまざまな運命を結晶させた物語集。物語を読むことは自己発見の旅なのだ。「水くぐる人」と「あらし」は本邦初訳。

これはブリクセンの晩年の作品だそう。ありそうにない御伽噺的なストーリーはいつものことなのだが、御伽噺的な甘ったるさはこの人にはない。「運命綺譚」というタイトルは、まさに運命的な出来事によって人生を変えられてしまう人々の話ではあるが、彼らは決してその運命に翻弄されず、むしろそれを我が身に引き受けながらも、前に進んでいく。奇想天外な幕引きではあるし、決して明るいハッピーエンドでもないのだが、エンディングが清清しいんだなあ。それはやはりどこを、冷たい北ヨーロッパの空気を思わせる。

こんな表現力のない私の感想に代わり、あとがきで、まさしく!と膝を打った一文を発見。

ブリクセンは決して狂気や幻想の作家ではない。健康で強靭な経験に裏打ちされた深淵をのぞかせるのである。ただ、その経験の持久力と飛翔力が凡人のおよぶところではなかろうが。

実は、「不滅の物語」と「指輪」は、国書刊行会からでている『不滅の物語』」で既に読んでいたのだが、ちっとは思い出すかと思いきや、全く思い出せず、お話しは終了してしまった。本当に読んだのかと確かめる意味も込めて、本棚を探索してみたが、奥の奥の埋もれているようで断念した。ま、再読であっても初めて読んだ時の清清しさにて再び終了できたことは、それはそれで素晴らしい。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/564-fa55e215

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - - - - 12
3 4 5 6 7 89
10 11 12 13 14 1516
17 18 19 20 21 2223
24 25 26 27 28 2930
- - - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア