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私のもらった文学賞

あとがきを入れても160ページで¥3,200は高いよね、みすず書房さん。新刊で見つけたが、値下がりを待ちようやく手を打った。Thomas Bernhard(1931-1989)はオーストリアの小説家。実はなんだかんだと言い訳しながら、作品は未読で、いきなりこんな文学賞暴露本みたいなものから始めてしまった。
私のもらった文学賞私のもらった文学賞
(2014/06/20)
トーマス・ベルンハルト

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ベルンハルトが受賞した9つの文学賞に関わる自伝的エピソードと、受賞のスピーチからなる。
私のもらった文学賞
  グリルパルツァー賞
  ドイツ産業連盟文化栄誉賞
  自由ハンザ都市ブレーメン文学賞
  ユーリウス・カンペ賞
  オーストリア国家賞文学部門賞
  アントン・ヴィルトガンス賞
  フランツ・テオドーア・チョコーア賞
  連邦商工会議所文学賞
  ビュヒナー賞

スピーチ集
  自由ハンザ都市ブレーメン文学賞授賞式のスピーチ
  オーストリア国家賞文学部門賞授賞式のスピーチ
  ゲオルク・ビュヒナー賞授賞式のスピーチ
  退会の辞


出だしは、これ。目が点になる。
ウイーン学術アカデミーのグリルパルツァー賞を受賞するにあたって背広を買わなければならなくなった。というのも授賞式の開始があと2時間に迫ったときになって急に、この明らかに特別な式典にズボンとセーター姿で臨むわけにはいかないと気づいたからだ

ただの世間知らずの文学オタクではない。この皮肉、啖呵、嫌味、ただの捻くれ者かと途中まで思ったが、段々爽快な気分になってくる。最後のスピーチ集などは、要は国家体制に向かって、一般大衆に向かって、馬鹿・アホ・無神経と云っているのと同じで、生前の彼の言動はやっぱり物議を醸し出したらしい。普通、xxx賞なんて、有難がって関係各者に感謝のお言葉を述べるものと相場は決まっているが、彼は完全に聴衆を煙に巻いて、お偉いさんを怒らせている。

生死を彷徨う病気もしたというが、この権威をコケにしまくる彼がどうして、その権威の権化ともいうべき文学賞をいただいたかというと、それはもう賞金が欲しかったから。それは金が欲しいのではなく、生きていくための金が必要だったから。何でそこまで貧乏だったのか(浪費家だったのか??)は語られていないが、毎回毎回、嫌々ながら賞金を得るために、文学賞をいただき、その授賞式まで胃がキリキリするほどうんざりし、受賞スピーチは思い浮かばないし、授与する側の心無い言葉や虚栄心と戦う彼。ベルンハルトにとっては、文学賞をもらうことは、どうも屈辱以外の何ものでもなかったらしい。でも病気治療に金が要り、家を買うために金が要り、車が欲しくて金が要り、とこんな調子で文学賞をいただきまくったらしい。

どんなスピーチだったのかをここで書いてしまうのは、本の売り上げにひびくかしらん?(誰もこんなブログは読んじゃいないから、大丈夫か・・・・)
時代とはすべてばかげたものであり、私たちのもとで魔神的なものは恒久的祖国という牢獄の形を取っており、そこには愚鈍と無頓着が日々欠かすことのできぬ要素となっています。国家とはたえず挫折を運命づけられ、国民とは間断なく下劣さと精神薄弱を運命づけられたこしらえ物です。人生とは、すべての哲学がそれに依拠するところの、そしてその中では万人がやがて狂わずにはいられない絶望状態なのです。

さて、ベルンハルトの作品をそろそろ物色してみよう。
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