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ラ・プラタの博物学者

「鳥たちをめぐる冒険」の著者、William Henry Hudsonの一冊。鳥偏愛者だけでなく、こちらはちゃんとNaturalistらしく、お鳥様以外の動物、昆虫も多数登場。そして舞台は南米、パンパの草原、ラ・プラタ。
ラ・プラタの博物学者 (岩波文庫 赤 241-3)ラ・プラタの博物学者 (岩波文庫 赤 241-3)
(1975/08)
ハドソン

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何はさておき、パンパなる草原はどんなところかというと、何もない所。山も林も湖も河もない。そこは陸地でありながら、絶海の孤島から眺める大洋を想像した方がいいのかもしれない。あまりにも広漠としているので、その広漠さに気づかないらしく、たいした標高もない山の頂上から眺めた時に、そのあまりの広大さにハドソンが驚いたとか・・・さらに鳥さえもここではあまりさえずらない、というのは、森や藪の中では、しばしば相手の姿を見失ってしまうが、この広漠としたパンパでは、見失うということがないので、さえずる必要がない。静寂で広漠なパンパは、世界でも指折りの騒がしい東京の住人には、全くもって想像不可能な土地だ。

鳥を偏愛するハドソンらしく、今回も鳥に裂かれているページは多いし、明らかに依怙贔屓されているのかと思いきや、鳥だけを溺愛しているわけでもなく、自然それ自体を偏愛しており、その自然に対する最たる敵が人間という構図なのかもしれない。私は子供の頃に、「シートン動物記」 や 「ファーブル昆虫記」 に目を輝かしたタイプでもないが、この「ラ・プラタの博物学者」 が 「シートン・・・・」や「ファーブル・・・・」と肩を並べて図書館になかったのは不思議だ。この人は、学者でもあったけれど、文学者でもあったので、文章が軟らかく、どうにも人間臭い。xxx学者っぽくないので、生態や分類などという難しい博物学的知識はどうでもよいみたいだ。

そんな動物・昆虫・鳥類音痴の私の気を引いたのが、ビスカーチャーとハチドリ。まずはどんな生き物かというと;
ビスカーチャー   hachidor
ビスカーチャはウサギに見えるが、れっきとした齧歯類なので、ネズミの仲間といったほうがいい。体調は40-50cmで地下に穴を掘って暮らす南米の動物。この写真はましな方で、世のビスカーチャ好きは、もっと間抜けな顔の写真をウェブで掲載してくれていて、そんな間抜け面をカワイイと云いながら和んでいる様子。

一方ハチドリ。この写真からは判別できないが、鳥類の中で最も体が小さいグループであり、体重は2〜20gしかない。掌にのせると、潰してしまいそうなくらい小さい。毎秒約55回もはばたきが出来るとかで、このホバリングで空中で停止できるという、とんでもない鳥なのだそう。またこのカラフルな色の鳥は、光によって七変化する美しい鳥だとか。ハドソンがぞっこん惚れ込むのも納得できる。

ハドソンは若い頃、標本のために鳥獣を射殺していた時期があったが、ある時からそれを一切止め、そこから自然を見る目が変わったという。博物学者をNaturalistと呼ぶ所以は、ありとあらゆる自然、動物・植物・昆虫・鳥類、そして海も山も河も、すべては一体となって相互に調和を保ちながら生存し、そしてすべてはその自然に対応すべく、自らを適応させていくという渾然一体としたものという考えからなのだろう。
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