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冬物語

たぶん、ブリクセンもしくはディーネセンの本で、普通に探せて読めるものは、これが最後になるような気がする。アマゾンでずっと網を張って狙っていたが、ある日突然古本カフェさんが仕入れてきてくれた。

冬物語冬物語
(1995/01)
カレン ブリクセン

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下記が収録短篇たち
少年水夫の物語
カーネーションをつけた青年
真珠
ゆるぎない奴隷所有者
エロイーズ
夢見る子
魚 - 古きデンマークより
アルクメネ
ペーターとローサ
嘆きの畑
心のためになる物語


この『冬物語』が書かれたのは、第二次大戦中、デンマークがドイツの占領下にあった時代。短篇の舞台はほぼデンマーク。Out of Africaのイメージからするとはるかに北欧、故国デンマークの冬の情景に満ち満ちていて、デンマークで人々に愛されている本だというのがよくわかる。御伽噺的な作風は残るが、そのトーンは若干低めで、どの話しも北欧の情景が浮かぶような叙情的な印象。アフリカのブリクセンではなく、デンマークのブリクセンになり、北欧伝説を基に練られたお話したち。今回も「運命」はひとつのキーワードとなっているが、彼女の描く運命はいつもそれを悲観するでもなく受け入れた人たちがいる。そして思いがけない展開と、オチのはっきりしないあっけない終わり方。

ブリクセン(ディーネセン)について語るのは辛い。何がきても面白いのだから、それでいいじゃないという気持ちになるんだなあ。彼女の人生はもちろんアフリカでの暮らしを抜きには語れないのだが、経営していたコーヒー農園が破綻し、愛するデニスを飛行機事故で失い、再び故郷デンマークに戻り、本を書き始めた彼女の心情は、私にとっては謎だ。アフリカでの暮らしは、「Out of Africa」や、彼女のプロフィールから察することは出来る。だが、デンマークに戻り、ナチス占領かのデンマークの冬の時代と、子供時代の故郷の伝説や思い出を再び紡ぎだしたブリクセンの心情は、実は短篇集に滲み出ているかというと、少なくとも一見したところ、とても不透明だ。と、そんなことを思いながら、本棚から写真集を取ってきて、しばし眺めていた。
作家の家―創作の現場を訪ねて作家の家―創作の現場を訪ねて
(2009/02)
フランチェスカ プレモリ=ドルーレ、エリカ レナード 他

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ここにブリクセンのデンマークの家がある。海を見つめて建っている家だということだ。今は彼女の博物館として保存されている。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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