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博物誌

ブドウ畑のブドウ作りを読んだので、折角だから「博物誌」にも手を出してみることにする。有り難いことに、青空文庫で読める。
博物誌 (新潮文庫)博物誌 (新潮文庫)
(1954/04/19)
ジュール・ルナール

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動物、昆虫、果ては植物まで、博物誌と銘打つだけあり、田舎に生息する人間以外の生き物を対象に、長いものでは数ページ、短いものでは一行(因みに、ブドウ畑のブドウ作りで登場した蛇は、ここにも重複して掲載されている)の観察日記といった風。鉛筆書き風のイラストが青空文庫の画面ではちょっと寂しいので、文庫本でもいいから印刷されたものがやっぱり良かったかもしれない。

独特の擬人化とでも云おうか、虫も動物も人間もどきで描写される。表現それ自体もあるが、どうもフランス語の男性名詞は「彼」 で受け、女性名詞は「彼女」で受けているというコメントもみた。博物誌とあるが、ジュール・ルナールは博物学者ではないので、ラプラタの博物学者、ハドソンのような、博物学的記述は全くない。全篇これ、ひたすら、そこに生息する生き物たちのルナール的イマジネーションの世界だ。自然を愛していないわけではないだろうが、自然崇拝というよりは、どこまでいっても文学的な視点で、擬人化もいうなれば、子供の見た夢 - 夜中に部屋中のおもちゃがしゃべりだしたり、動き出したりした - のような何とも軽妙なもので、クスクス笑いながら読める。偏屈者、ちゃっかり者、マイペースなヤツ、ひょうきん者 等々、鳥も虫も様々なんだな・・・ 

ハドソンも鳥の偏愛者だったが、この博物誌も鳥がたくさん登場する。魚へんの漢字を見て、これは鰯だの鯖だのといった漢字テストはよくやるが、鳥はそれ以上に難しい。この青空文庫版は、新潮文庫の版が底本だということなので、岸田国士による翻訳だと思うが、鳥たちは漢字。雌鳥・雄鶏・家鴨(アヒル)・鵞鳥(ガチョウ)・孔雀まではいいとしても、鴫(しぎ)や蝦蛄(しゃこ)、鵲(かささぎ)になると、漢字はともかく、名前だけでそもそもどんな鳥なのか知らない。地上で暮らす虫までは、発見できれば眺めることは可能かも知れないが、空を飛ぶ鳥はそうはいかない。さらにルナールは、雲雀は地上の鳥でさえないと云っている。

雲雀がどこで囀っているのかそれを誰が知ろう?
空を見つめていると、太陽が目を焦がす。
雲雀の姿を見ることはあきらめなければならない。
雲雀は天上に棲んでいる。そして、天上の鳥のうち、この鳥だけが、我々のところまで届く声で歌うのである。
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