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ビリー・ザ・キッド全仕事

年に一度くらい、国書刊行会のサイトに行き、『文学の冒険』シリーズの全作品を上からなめる。随分読んだつもりだけれど、改めて眺めてみると、ああ、こんな取りこぼしが・・・・と取りこぼしを発見すると補充したりする。Michael Ondaatjeは、The Cat's Table 以来。 「The English Patient」 の邦訳版、 「ディビザデロ通り」、「The Cat's Table」 そして4冊目になるこちら。
ビリー・ザ・キッド全仕事 (文学の冒険)ビリー・ザ・キッド全仕事 (文学の冒険)
(1994/07)
マイケル オンダーチェ

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BillyTheKid

左利きの拳銃、危険な恋人、夢見る殺人者、西部の英雄ビリー・ザ・キッド。そのロマンスとヴァイオレンスに彩られた短い生涯を、詩、挿話、写真、証言、インタビューなどで再構成。略奪と逃走、銃撃戦、つかの間の平和、激しい愛、友人にして宿敵、保安官パット・ギャレットとの抗争…さまざまな断片が物語る、愛と生と死の物語。アウトロー伝説に材をとり、鮮烈な生の軌跡を描いた、ブッカー賞作家オンダーチェのアヴァンポップ・フィクション。

帯にある ”おれの人生、血まみれの首飾り” はまったくこの本とは違うキャッチコピーじゃない、と読了後ちょっと文句をいっておく。西部のヒーローの短く激しい21年の人生は、度々映画化されているが (私が見た記憶があるのは、監督:サム・ペキンパー, 主演:クリス・クリストファーソンという 「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」)が、オンダーチェの描くビリー・ザ・キッドだから、そりゃあ、一味もふた味も違うもの。なるほど、オンダーチェーはこんな風に描くのね。

マイケル オンダーチェはそもそも詩人(だということを今回初めて知った)。それ故なのか、詩集を読んだという印象が非常に強い。ビリー・ザ・キッドはアメリカ西部開拓時代のヒーローだから、虚実入り混じる伝説に満ちた超有名人。いまさらその生涯をなぞったところで面白くはならない。オンダーチェのやったことは、まるで自らがビリー・ザ・キッドになり、その人生を改めて辿ること。詩人ビリー・ザ・キッドなんだな・・・

詩と小説の融合という実験的な試みは、ビリー・ザ・キッドという伝説的ヒーローのいくつもの逸話を知る西部開拓時代好きなら、そんな逸話を思い起こしながら、詩人ビリー・ザ・キッドの声を聞くことが出来る。付け焼刃で彼の人生をWikiでさらりと予習したような私は、オンダーチェの叙情あふれる詩を楽しむしかないが、それはそれでなかなかよい。西部の無法者ではあるが、実際のビリー・ザ・キッドは、大変小柄で華奢な優男であったらしい(と、まあこれもひとつの逸話)。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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