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天使も踏むを恐れるところ

Edward Morgan Forster  有名なところでは、映画にもなったこんな作品
眺めのいい部屋 A Room With A View 
ハワーズ・エンド Howards End
インドへの道 A Passage to India
モーリス Maurice

どうしてこの本を買ったのか思い出せないまま、彼の処女長篇作を読んでみた (期待値は低かったが・・・)
天使も踏むを恐れるところ天使も踏むを恐れるところ
(1993/09)
E.M. フォースター

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こんな本は久しぶりに読んだ。こんな本とは、
登場人物が誰が誰だか混乱しない
起承転結がちゃんとある
登場人物が、おそろしくprototypical
幻想も、シュールも、マジックリアリズムも、不条理もない話しなんて、何だかこっ恥ずかしいというか、むずむずするというか・・・ 

33歳にして、体面と体裁が何よりも大切なぎっちぎちの英国上流階級家庭の未亡人となってしまったリリア。その体面と体裁が窮屈でたまらないリリアを疎んじる姑にとって、彼女は無教養で品のない嫁。彼女はそんな小姑や義理の弟に囲まれて閉塞感に満ちた生活にうんざりしている。と、信心深く慈善奉仕に身を費やすくそ真面目なアボットがイタリア旅行をすることになり、その付き添いとしてリリアが同行することになった。厄介者を追い出したい姑たちも喜んで送り出す。が、そんな安堵感もつかの間、リリアはイタリア中部の田舎町で出会った若い男と恋に落ち、結婚すると知らせてきた。母親の言いなりでしかない義理の弟のフィリップが、母に言われるままイタリアに出向く。そこには彼らのような上流階級とは正反対の、イタリア人青年ジーノがいた。そして、二人は既に結婚したという。そしてジーノの子供を出産した直後、リリアは亡くなってしまう。ジーノの元に残された赤ん坊(男の子)を、手元に引き取ろうとする姑は、再びフィリップをイタリアに送り出し、アボット嬢とともに向かう。

この小説は、自由奔放なリリアが陽光きらめくイタリアで、英国とは全く異なる国民性の中で、自らの真の人生を見出す話しでは全くなく、くそ真面目なアボット嬢と、知性はあっても常に傍観者として母親の言うがままに生き、自分では何一つ決断をしないフィリップの成長物語と云ったほうがいい。保守的な英国上流階級の暮らしを常識として生きてきたふたりと対照的なのは、ちょっとお馬鹿で我侭で好き勝手に生きたリリアと、これまた知性はないが感性と勘はするどい人生謳歌型のイタリア青年。体裁第一主義の姑にせよ、軟弱な英国青年フィリップにせよ、自由でおおらかはハンサムイタリアンにせよ、出てくる人がみんな極端で、その悲喜こもごもは喜劇的な様相だ。少なくとも、イタリアの田舎町に乗り込むイギリス人は、滑稽でさえある。が、出てくる人みんな、何だかなあ・・・の人物で、誰一人お気に入りの登場人物は居なかったけどね。。。が、そんな何だかなあ・・・ の人物たちの対照の見事さ、イギリスとイタリアという国民性の対照の見事さ、結構読み始めると止まりませんよ。。。

さて、原題は 「Where Angels Fear to Tread」
これはアレキサンダー・ポープの詩の一節にある 「Fools Rush in Where Angels Fear to Tread」 から取られたものということだが、このポープの詩とは何ぞや?と思い、ちょっと調べてみる。これは詩の一節を飛び越えて、英米ではかなり知られた一種の「諺」といってもいい。 ”天使が踏み込むのを恐れる場所へ愚者は飛び込む” こんなフレーズは案外色々なケースを当てはめて応用できるのが、時代を飛び越えて小説やらポップミュージックやらに多用されている理由かもしれない。で、今更知ったのが、プレスリーのあの有名な 「Can't Help Falling In Love With You (好きにならずにいられない)」 これは、そういればこんな歌詞で始まるんだった。
Wise men say only fools rush in…
こういう応用編もありな言葉。覚えておこう。
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流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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