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血の伯爵夫人(1)

このタイトルといい、上下巻2冊といい、私にとっては厄介な要素が2つあった。が、これはれっきとした「文学の冒険シリーズ」で、内容を読むと、すこぶる興味深い。でも1巻でたかが300ページ、余白も満載だし、1冊でまとめあげて欲しかったなあ。
まずは上巻から。。。
血の伯爵夫人 (1) (文学の冒険シリーズ)血の伯爵夫人 (1) (文学の冒険シリーズ)
(1998/09)
アンドレイ・コドレスク

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「血の伯爵夫人」は、バートリ・エルジェーベトという16-17世紀に生きたハンガリーの貴族。これまた私の勉強不足だが、歴史上の有名人である。史上名高い連続殺人者とされ、吸血鬼伝説のモデルともなったそうだが、様々な研究本から映画化まであるが、真偽については賛否両論らしい (くわしくはWikiでどうぞ) 

どこまでが真実かということはどうでもよく、噂される残虐行為の凄まじさはあっけにとられるとはいえ、この血の伯爵夫人の謎の人生を興味深くさせる理由は、むしろ当時のヨーロッパ情勢と、群雄割拠のその時勢の政治的思惑と彼女の人生が切っても切れないからだろう。カトリックと新興勢力のルターのプロテスタントとの抗争、名だたる有力者を輩出したという名門一家ぶり、その影でたび重なる近親結婚故の異常性、過去から延々とつづく東欧諸国の複雑な政治体制。ハプスブルグ家をめぐるオーストリア・ハンガリー帝国の話しなら、過去に読んだ本でも度々登場したが、確かにパッチワークのような帝国は、雑多な民族の集まりであったというから、当時、オスマン帝国とハプスブルク家の2大勢力の狭間にあった、マジャール貴族たるバートリ家の生き残り作戦は、かなり厳しく悲惨な暗い歴史があっても不思議ではない。

本書は、その血の伯爵夫人、バートリ・エルジェーベトの半生をフィクションでまとめあげただけでなく、時空を飛び越え300年の後、現代に生きるバートリ家の末裔、今はアメリカでジャーナリストとなっているドレイクが、共産主義崩壊後の祖国に戻り、祖先と対峙する(?)話しを絡ませて展開していく。エログロと異常性に満ちた中世のバートリ・エルジェーベトの物語に終始しないのがツボ。むしろ想像もできないような中世の貴族の精神状態より、ドレイクの葛藤の方が、今は面白い。

さて第1巻は、幼少のバートリ・エルジェーベトから始まり、彼女が結婚をするところで完了となった。かなりワクワクドキドキの展開で、ページがどんどんめくれていく。はやる気持ちを抑えつつ、第2巻へいく。
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