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超男性

つい妥協して、白水Uブックスで手を売ってしまったが、
超男性 (白水Uブックス)超男性 (白水Uブックス)
(1989/05)
アルフレッド ジャリ

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超男性白水社  単行本の方はちょっとステキな装丁。超男性単行本

ジャリは初。シュルレアリスム先駆者だの不条理文学の詩人だのと云われたら、きっと私の手には負えないと思っていた。ジャリと云えば、『ユビュ王』 だが、このユビュ王は以前Paul Austerの「Invisible」で引用されていて、ちょっと気になってはいたが、演劇は詩以上に苦手(要は字面という見た目がダメ)で、手を引っ込めた。

悪趣味と退廃に満ちた生活を送り、アルコールや薬物のために結核が悪化してパリで34歳の若さで亡くなったブルトン人。ユビュ王の物語がどんなものかはわからないが、自分で創り出したユビュ王を、自分の人生として生きてしまった。そしてこの「超男性」に登場するアンドレ・マルクイユも、奇想天外さではユビュ王並みで、最初は5人のサイクリストと1万マイル汽車と競争をする。ちなみに1万マイルとは、パリからウラディオストックまで行っても、まだ正確には一万マイルに満たないくらいの距離。自転車の速度は時速300キロを超え、5日間疾走する。時速300キロはもう疾走のレベルではないが、そもそもロードバイク程度の自転車ではないスーパーマシーンの自転車で疾走するのだが、なんだがシュール過ぎて、そのスーパー具合が想像できない。

さて、次にアンドレ・マルクイユが挑戦したのが、24時間で何回セックスができるかという課題。ここに至ってまさに「超男性」になるのだろうが、それはセックスの回数を競うエロい話しとは全く違う。インド人によって打ち立てられたとされる一日に七十回の記録に挑むのであるが、これはもう肉体が神的機械と化していくまでの神話的物語だな。これに水泳もどきの競争が加われば、スーパートライアスロンになったろうに・・・

そしてラスト。「愛情を吹く込む機械」にかけられる超男性アンドレ・マルクイユ。そしてその装置の中で超男性は、”鉄と縒り合わされて死んでいた”
「金属と機械が全能になった現代では、人間は生きのびるために、機械よりも強くならなければならない、昔、人間が獣よりも強かったように・・・・・ それは単なる環境への適応だ・・・・・ この男は未来の最初の人間なのだろう・・・・・」
この作品が書かれたのは1902年。現代といってもそれは今から100年以上前の話だ。

翻訳は澁澤龍彦。シュールではあるが、ははは・・・ と笑える箇所もふんだんにある。細部は楽しい。全体はといえば、難解ではないものの、奇人ジャリのシュールさ加減を想像しきるのは大変。もう1回読んだほうがよさそうだ。
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