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もうひとつの街

いくつかの出版社のTwitterを時々覗くが、河出って宣伝が上手いなあ~~と感心する。新刊には手を出したくない派だが、時々まんまとのせられ、ついに我慢できなくなり、10%オフくらいの値段で手を打ったりする。
もうひとつの街もうひとつの街
(2013/02/22)
ミハル・アイヴァス

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雪降りしきるプラハの古書店で、菫色の装丁がほどこされた本を手に取った“私”。この世のものではない文字で綴られたその古書に誘われ、“もうひとつの街”に足を踏み入れる。硝子の像の地下儀式、魚の祭典、ジャングルと化した図書館、そして突如現れる、悪魔のような動物たち―。幻想的で奇異な光景を目のあたりにし、私は、だんだんとその街に魅了されていく…。世界がいまもっとも注目するチェコ作家の代表作。

プラハとか、古書店とか、この世のものではない、と煽るのは反則技だ。その古書に導かれて迷い込んだ「もうひとつの街」の謎解きがないわけではないが、サスペンス的なハラハラドキドキを期待してしまうと、それはちょっと違う。全篇これ、ひたすら幻想的で、正気では決して見られない夢のよう。リアルな街の描写などほとんど出てこない。謎解きよりも、このシュールな街に身を委ねるより他ないんだな。

雪のプラハは暗い。が、「もうひとつの街」にはジャングルと化した図書館があり、サメやエイや魚やその他小動物はすべて奇怪で、でもグロテスクかというと案外そうでもなく、途中から私の頭の中は、ミロの絵が浮かんできた (こんなやつ でも背景はもっと暗くしなきゃ)
ミロ こんなに楽しげでも浮かれてもいないんだが、奇怪な生き物たちは時にややコケティッシュでもある。そして、豊穣すぎる言葉の洪水には、しばし溺れそうになる。

未知の文字で書かれた一冊の本の解読を試みていくうちに、少しずつ少しずつ表れてくる「もうひとつの街」は、実は遠く離れた場所にではなく、日常の世界と表裏一体になって存在している。扉をひとつ開けば、そこは「もうひとつの街」。主人公が彷徨うプラハの街と「もうひとつの街」の境界線が徐々に薄れていくような気になってくる。なのに、「もうひとつの街」は、単に別次元の異空間であるという以上に、実社会にあるはずの原則がない。何故主人公がそこまで「もうひとつの街」に行きたがるのかわからないまま、路面電車に乗り込んでいく彼を見送って、本書は終わる。

宣伝上手は河出さんは、このミハル・アイヴァスの次なる本を既に出版済み。しばし思案中の私・・・
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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