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十蘭万華鏡

絶不調の時は、十蘭だ!!! 

十蘭万華鏡 (河出文庫)十蘭万華鏡 (河出文庫)
(2011/02/04)
久生 十蘭

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<収録作品>
・花束町一番地
・贖罪
・大竜巻
・ヒコスケと艦長
・三笠の月
・少年
・花合せ
・再会
・天国の登り口
・雲の小径
・川波
・一の倉沢
フランス滞在物、戦後世相物、戦記物、漂流記、古代史物と、かなりバラエティーのとんだ収録。選りすぐり感にはちょっと欠けるけど、どうも ”入手困難傑作選” と河出さんは述べている。

十蘭ものもだいぶ慣れてきて、安心して完読。おかげで私からは何も云うことはなくなってしまったので、巻末の解説を書いていただいている東直子氏の言葉をパクる。十蘭だからこそなんだろうが、本編はもちろん、解説もいいのよね。
・彼の小説は、まるでおしつけがましいところがなく、清らかに、淡々と、的確に、そしてこの上なく粋に、展開されていくのである。
・そうしてたゆたっていると、とつぜん物語は終わりを迎える。いや、終わる、というより消える、という動詞の方がふさわしいと思う。物語は、むしろ終わらない。書かれていない向こうになにかがある。・・・・・登場人物たちの感情が一気に襲いかかるのに、目の前にはもう、物語がない。あ、物語が消えたんだな、と思う。
・明治生まれのインテリやんちゃな作家の文章に出てくる人物はみな、曲者にしてひどく色っぽい。それはもう、心惹かれずにはいられない。


スピード感を感じるかというと、実感はない。でもリズミカルな文章の影で気づかないだけで、絶妙なスピード感をもって、物語は展開し、これまた私が実感しないまま、突然、ユーモアたっぷりからシリアスな場面に転換し、のらりくらりした場面から死を直面させられる。でも全篇軽やかで、そこに見るからに劇的な何かがあるとは思えない。この読者を構えさせないで、見事に誘導するあたり神業のようだ。

最後にこれだけ。「大竜巻」の冒頭から。
いい天気だ。癇癪が起きるほどにいい天気である。一滴の雨も降らない。
なんだが、度肝を抜かれてしまった。一点の曇りのないいい天気を、癇癪が起きるほど、とは何事ぞ。
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流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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