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こまった人たち

チェコの国民的作家、カレル・チャペック(1890-1938)。こちらは、彼の膨大な作品の中から、寓意的短篇や警句の一部を編集・翻訳したもの、ということ。
こまった人たち―チャペック小品集 (平凡社ライブラリー)こまった人たち―チャペック小品集 (平凡社ライブラリー)
(2005/05)
カレル チャペック

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第一部「ポケット短篇」は、1936年以降のチャペック晩年の小品で、ファシズムの台頭期、それに抗議していた時代の作品。「遺稿」は彼の死後1950年に発見された作品たち。そして最後の「寓話集」は、ほんの1行-2行の警句・アフォリズムを集めている。

チャペックは「園芸家の一年」でもそうだったが、文体自体は軽妙でユーモアたっぷり。これが趣味の園芸の話しなら、軽妙で済むが、こと1936年という時代を背負うと、そこには辛辣な風刺がたっぷり込められる。この風刺は、読んでいるだけでハラハラするほどの風刺だ。

チャペックを危険視していたゲシュタポは、1939年3月にドイツがプラハを占領した際に、いち早く彼を逮捕するためにチャペック邸に乗り込んだが、その前年に彼は死亡しており、妻オルガは踏み込んできたゲシュタポに、夫は4ヶ月前に没したことを、皮肉を込めて伝えた、という逸話がある。48歳という若さで逝去した彼だが、生前は右翼からの相当な嫌がらせに悩まされていたという。そしてこの本もそうだが、挿絵は兄のヨゼフのものだ。兄ヨゼフは画家ながら、カレルとの共著で著作を残し、新聞社では風刺漫画を担当しナチズムを批判した。そしてドイツがチェコスロバキアに侵攻した1939年に逮捕・収監され、1945年4月、強制収容所で亡くなっている。

読書と云う意味では、第一部と第二部の短篇集が楽しめる。が、もしかすると彼の本質は、第三部の「寓話集」の方なのかもしれない。彼は作家であると同時にジャーナリストでもあった。最終章の「寓話集」はなるほど、ジャーナリストらしく、まるで新聞や雑誌のヘッドラインのような、簡潔ながら、ひねりをきかせた一文になる。だが、この悲痛な叫びのような一文は、あまりにもストレートで、身につまされる。
断片ii (1938年)
たとえ不幸な国民であろうとも、決して小さな国民にはならぬように!」
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