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月に吠える

既に青空文庫で読めるようになっているので、実に様々ばバージョンがあるのだが、私が古本カフェで購入したのは、初版本の復刻版として、昭和54年に発刊されたもの。復刻版と知らなければ、まさに初版本かと思ってしまう程の見事な復刻版。装丁買いでもある。下の写真はいまひとつだが、実物は大事に取っておきたくなる古式ゆかしい本。

近代文学館〈精選 〔14〕〉月に吠える―名著複刻全集 (1972年) 荻原朔太郎
月に吠える

日本文学に疎く、詩集はまず読まない私が、どうして荻原朔太郎を買ってしまったのか?
復刻版のこの本は、小口が化粧裁ちされておらず、ページ同士が袋状になっている「アンカット」。今時の本でこれは絶対にない。覗いてみたくなるし、自分で本を作るようで楽しい。この近代文学館が揃えた名著復刻全集については、こんな資料を発見した。とにかく今では絶対にありえないこんな本は欲しかった。

さらに・・・ 実は高校生くらいまでは、普通に日本文学を読んでいた。荻原朔太郎は現代国語の授業で知った。何がどう気に入ったのかてんで覚えていないが、今でも当時気に入った記憶は鮮明にある (ちなみに、もう一人好きだったのは、安部公房) そして詩集 「月に吠える」 というタイトルも記憶に残っている。私にしてみると、あ~あれだ・・・ の本だったわけだ。

私は自慢じゃないが詩を解さない。世界中を見渡しても、文学における詩というものは絶大なるパワーがある。どんなに壮大な長篇大作をもってしても、一篇の短い詩には敵わないといわんばかりの勢いだ。でも私はどうしてもダメなんだんなア。でも今回少しわかったことは、詩の匂い/リズム、それは文字面ではなく、日本で生まれ育った私には、たとえそれが旧かなの日本語であっても、日本語だからこそ、感じ取れるものがある。理屈ではなく、体にも脳みそに染み込んだ母国語は、単に言語という問題ではなく、もっと奥にある核心のようなものが感じ取れるのかもしれない。翻訳がいい・悪いではなく、それが感じ取れるか取れないか、それこそが詩なのだろう。

それにしても朔太郎と言う人は、なんとも悲観的な御仁だ。暗い文学者は嫌いではないが、私生活も決して幸せではなかった彼は、明治~大正期の病的なまでの詩人の一人だ。さて袋状になっているページをカッタ―で切りつつ、読み始める。授業で登場した朔太郎の詩に再び巡り合い、感動の再会を果たすかと思いきや、どの詩だったのか結局わからずじまい。これだったとは思えないが、でもこの「竹」はかすかに記憶に残っている。

「竹」
光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。

かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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