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ブランディングズ城は荒れ模様

「ブランディングズ城の夏の稲妻」を読んだのは、2013年の7月だった。なんとまあ、久方ぶりのブランディングズ城シリーズなんだろう。登場する人たちが誰が誰だったかすっかり忘れてしまっているのじゃないかと危惧していたが、いやいや、アクの強い人たちはしっかりと脳裏に刻まれていた。
ブランディングズ城は荒れ模様 (ウッドハウス・スペシャル)ブランディングズ城は荒れ模様 (ウッドハウス・スペシャル)
(2009/02/25)
P G ウッドハウス

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若い恋人たちの恋路を阻む階級差の壁と不幸な誤解、高貴なる豚エンプレスを襲うどす黒い影。大英帝国社交界を震撼させるギャリー伯父さんのスキャンダラスな回想録の行方は? 『夏の稲妻』で大活躍のお仲間に、マンモス出版社のワンマン社長ティルベリー卿、ハンサム・リッチで気のいいモンティ・ボドキンら、強力新キャラクターも続々登場して、ブランディングズ城はいよいよ大混乱。

しっかり脳裏に刻まれていたわけではなく、この 『ブランディングズ城は荒れ模様』 と前作 『ブランディングズ城の夏の稲妻』 はシチュエーションも登場人物もネタも一緒だった。なんと『・・・夏の稲妻』 から10日後と云う設定で、『・・・荒れ模様』 は開始している。ここまで引っ張りながら、焼き直しになっていない凄さにはあっぱれですな。

城主エムズワース卿クラレンス爺ちゃんは、今回も相変わらず寵愛する女帝ブタ、エンプレス・オブ・ブランディングズを狙う輩がいると苦悩している。つーか、そこしか出てこないという相変わらずの登場回数の少なさ。メインは、エムズワース卿の弟にして”幸福な独身者”、ギャラハッド閣下の回顧録奪還騒動と、エムズワース卿の甥ロニーと心優しきコーラスガールのスーの結婚話をめぐるドタバタ。このスーは、ギャラハッド閣下が家族に恋路を引き裂かれた女性の忘れ形見である娘。若かりし頃は、ロンドンでやんちゃを繰り返し、その回想録を執筆中だが、脛に傷持つ上流階級の方々は、その出版を阻止すべくあの手この手で妨害にかかる。一方、こんなオイシイ回想録の出版権をゲットしながら、出版撤回を言い出したギャラハッド閣下を再度説得し、どうにか原稿を手に入れようとするのが、マンモス出版社のワンマン社長ティルベリー卿。弁の立つエムズワース卿の恐るべし妹御たち、レディーコンスタンスにレディージュリアは、今回も毒舌吐きまくりでパワーアップし、エムズワース卿に襲い掛かるが、綿菓子のような脳ミソを持つ御仁の手にかかれば、 ”ほお” とか ”へぇ?” とか ”ほっ” と云っている間に相手は自滅していくのよね。忠実なる執事ビーチはジーヴスとは別キャラの、ちょっと人間臭い執事で、ご主人様への忠義はもちろんだが、子供の頃から知っているロニーを若様といって可愛がるあたりは、なんとも微笑ましい。

最後は大団円と決まっている。驚くようなどんでん返しはないけれど、あ~そこをそうやって絡めるか・・・という混乱作りに感心しながら、若き恋人たちは仲良く旅立ち、女帝ブタ、エンプレス・オブ・ブランディングズも無事健やかなり、だからクラレンス爺ちゃんもハッピーで、可愛いスーが幸せになってギャリー伯父さんもハッピーで、暴露本もとりあえず消滅したのでレディーたちもハッピーと、みんながそれなりにハッピーなエンディング。ブランディングズ城の良さというのは、アクの強いキャラながら、悪人がおらず、誰か一人が割りを喰うようなこともなく、苦手な相手はいてもなんだかんだみんな仲良くやっている。愛する、エンプレス・オブ・ブランディングズが危険に晒されても、彼女が戻ってくればそれでよし、犯人はどうでもいいクラレンス爺ちゃんが、登場場面は少なくとも、高貴なる人のあるべき姿なのかもしれないと思うのよね。前作に続き、カッコいい場面はギャリー伯父さんが全部もっていってしまったけれど、私はこの誰にでも誠実なクラレンス爺ちゃんがやっぱり好きだ。

う~~ん、三作読んで思う。ジーヴスシリーズより私はこっちのシリーズの方が好きだ。好きなんだが、どうもこの先邦訳がないような気がする。そして出版もされないような気がする。さてさて、どうしたものか?
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