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無月物語

再び、青空文庫にて久生十蘭を読む。
どうでもいいことだが、このブログを書くまでずっと、「雨月物語」だと勘違いしていた。おーあの、「雨月物語」と同じタイトルか! 否、これは「無月物語」。ご興味のある方は、下記青空文庫からタダでどうぞ。

図書カード:無月物語 - 青空文庫

時は平安期、後白河法皇の院政中。京の加茂の川原での死罪場面から始まる。
死刑される当の人は、中納言藤原泰文の妻の公子と泰文の末娘の花世で、公子のほうは三十五、花世のほうは十六、どちらも後々の語草になるような美しい女性
の悲しい物語だが、夫であり父である中納言藤原泰文の非情ぶり、妻子を顧みず悪行を繰り返すこの王朝の男の描写が凄まじい。この藤原泰文、揚句の果てに娘の花世を犯してしまい、耐えに耐えていた母と娘はとうとう・・・

まず、十蘭ものでは、明治以前を舞台にしているものが好きな私としては、平安期と云われただけで、ぞくっとする。暗闇を魔物が這い回るようなゾクゾク感がどうにもいい。しかも、悪役藤原泰文の描き方が見事過ぎて、悪行三昧もこう描かれてしまうと、なんだか美学とさえ映ってしまう。その非情ぶりを緊張感たっぷりに描き、生々しい人間の性の前には、善も悪も、神も仏も超越してしまう。

と、もしやこれは再読か?と思い立ち、ネットでつらつら調べるに、どうも「久生十蘭短篇選」に含まれているらしい。2年前に読んでいるらしいが、記憶がない。短篇選というからには、作品が多々あったわけで、埋もれさせてしまった(それでも十蘭だからレベルは高いが)自分の愚かさに気づく。が、こうして単発で改めて集中して読むのはいいなあ、と実感。こういう時に青空文庫はすこぶる具合がいい。
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