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天国・地獄百科

ボルヘスは久しぶりだ。しかもビオイ・カサーレスとの共作はパワフルな匂いがする。

4891762616天国・地獄百科 (叢書 アンデスの風)
ホルヘ・ルイス ボルヘス アドルフォ ビオイ・カサーレス 牛島 信明
水声社 1991-12

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ボルヘス爺ちゃんの本だから、中身がなんだかよくわからず買ってしまったが、タイトルどおり「天国・地獄百科」、天国と地獄のアンソロジー。但し、そこはボルヘスとカサーレス、そんじょそこらのアンソロジーとは、出典が違う。160ページ足らずで135篇。アンソロジーといってよいのか、どうなのか? 

まるで彼ら二人の脳内に蓄積されている膨大な読書遍歴を出し惜しみしながら、編纂したようだ。私なんぞはそもそも出典元の本の存在さえよくわからん。内容より、この二人、一体どんな本を読んでいるんだと、そっちの凄さに改めて感動してしまった。ってなことで、この本を読んだからといって、キリスト教的天国観や地獄観、仏教的な極楽浄土をあれやこれやと思索するなんて境地にはとても至らない。

何かの本でボルヘスが述べていたが、このあとがきにもやはりその言及があった。
ボルヘスにとって厳密な意味での個人の創造などありえない。彼にとって文学営為とは何よりもまず世界の伝統を継承すること、従ってまず読むことであり、創り出すことではないのである。そして本というものが伝統に基づく、歴史的、集団的な意識の産物であるとするならば、そこでは<個>は滅却し、本に署名など必要ないというのだ。

至極納得できる。この彼の文学観からすれば、この「天国・地獄百科」ほどボルヘスらしい作品もないのだろう。そしてボルヘスの宗教観を少しでも垣間見た気もしない。ただ、やっぱり私には、キリスト教的天国観と地獄観にはどうも馴染めないということだけわかった。
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