Entries

ドグラ・マグラ

なぜか唐突に、夢野 久作。青空文庫は電車の中で立っていてもスマホで読めるので、「無月物語」を読了後、なぜか夢野久作なんかを選んでみた。彼の代表作は「ドグラ・マグラ」なる、奇怪なタイトルの本らしい。青空文庫へは下記からどうぞ。

ドグラ・マグラ 夢野 久作

日本三大奇書だの、読んだ人は気が狂うだの、ネットには凄い脅し文句がいっぱい。解説だの解読だのが必要な一冊らしいのである。ちなみに三大奇書のあと2冊はこれらしい。
『黒死館殺人事件』 小栗虫太郎
『虚無への供物』 中井英夫

結論、私は鈍感なので全然異常なし、気は狂っていない、すこぶる平静。だが、やっぱり濃かった、凄かった、長い割りには飽きもせず最後までいける。

舞台は、大正15年頃の九州帝国大学医学部精神病科。「私」を呉一郎という青年だと解釈すれば(ここがどうも本書の争点らしい)、彼が精神病科の病室で目を覚ますところから小説は始まる。この大学にいるのが、「狂人の解放治療」なる計画の発起人、精神病科の正木敬之と、その正木敬之の同級生である法医学の若林鏡太郎。まずはこの若林教授が、私に事のいきさつを語り、そして正木博士が遺した(つまり若林氏曰く、正木先生は亡くなった・・・) 研究の原稿を読ませる。がその後その死んだはずの正木教授が登場し、若林教授とは180度違うことを語りだすから、このあたりから、俄然面白くなってくる。ある種自由奔放な正木教授の軽薄な口ぶり、どこまでいっても悲壮感ただよう呉一郎(かもしれない私)、何がなんだかわからなくなってきたら、さあ、本番。

時系列も途中から混乱する。論文めいたものも多数挟まれる。『心理遺伝』だの「脳髄は考えるところに非ず」 だの云われ、夢と現実と、論文に摩訶不思議な絵巻物と、ドグラマグラなる書まで含めた入れ子構造。こんなメタフィクションのような作品でありながら昭和10年刊行。この構成とプロットを考え付いた夢野 久作に恐れ入る。今時ここまで凝りまくった文学を書ける人はまずいない(読む人もいないか・・・)

記憶喪失者を巡る奇怪な殺人事件の謎解きと割り切れば、十分エンタテイメントの要素もある。が、謎解きはあくまでサブプロットで、人間の心理を読み解こうと思ったら、心理遺伝という悲劇の運命に飲み込まれた記憶喪失者(それは呉一郎?)と彼を取り巻く博士たち、その母親や謎の婚約者等々、登場する人すべてが尋常ならざる精神状態と狂気に満ちているわけで、読み解くと確かに気も狂わんばかりに混乱するかもしれん。でも、普通は気は狂わない。だから安心して、青空文庫で読んでみませう。

う~~ん、でものっけの詩、『巻頭歌』 
胎児よ
胎児よ
何故踊る
母親の心がわかって
おそろしいのか

と続く、
・・・・・・・・ブウウ------------------ンンン--------------------ンンンン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
という時計の音で目が覚める「私」 そして最後もこの ブウウ・・・ンンン----- で終わるこの本。これが何だか一番怖かった。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/621-d0b330b9

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - - - - 12
3 4 5 6 7 89
10 11 12 13 14 1516
17 18 19 20 21 2223
24 25 26 27 28 2930
- - - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア