Entries

カオス・シチリア物語

「生きていたパスカル」 に続きピランデッロ2作目。イタリア⇒シチリア⇒表紙の写真 の3点セットで、ブックフェアにて衝動買い。

4560099049ピランデッロ短編集 カオス・シチリア物語 (エクス・リブリス・クラシックス)
ルイジ ピランデッロ 白崎 容子
白水社 2012-07-21

by G-Tools

シチリアが舞台と聞くと、Montalbanoがまず頭に浮かんでしまう私。が、世の中でシチリアといえば、映画『ゴッドファーザー』 や ヴィスコンティの 『山猫』。 あの大爆笑のMontalbanoシリーズを読んでいても、シチリアの特異性は少しずつわかってきた。オリーブや紺碧の海や旨いイタメシだけではないのである。シチリアはシチリアであって、イタリア本土とは一線を画している。

タヴィアーニ兄弟の同名の映画があるそう。その原作が6篇に、おなじくシチリアゆかりの10篇を加えたのが本書。映画は原作を超えられないと信じている私だが、この本だけは、映画をまず見なければいけないかもしれない。映画の冒頭は、本書にも登場したカラスの一篇から始まるそう。本書を象徴するようなカラスのエピソードなぞ、映画で是非見てみたい。

シチリアは美しい自然がありながら、同時に時代に翻弄されながら貧しい暮らしを強いられた歴史も持つ。郷愁と鬱血した憤りは表裏一体となり、未来への希望と希望への懐疑も表裏一体となる。カオスは「混沌」を意味するのかと思ったら、ピランデッロが生まれたシチリアの村の名前だそう。奇しくもというか、何というか、彼の描くシチリアはカオスである。土とともに生きる農民だけでなく、家畜もカラスも村のお偉方も聖職者も、因習の中に生きざるを得ない女性も、登場する者たちは、どこか可笑しくでも哀しい。

ピランデッロを敬愛する作家たち、ということで、あとがきに登場したのは、アントニオ・タブッキ、レオナルド・シャーシャ (「マヨラナの失踪~消えた若き天才物理学者の謎」の作者)、そしてあの、Montalbanoシリーズの作者、アンドレア・カミッレーリもピランデッロの伝記を著しているという。私には実感できないシチリアへの複雑な思いを、きっと彼らはわかるのだろう。そうなんだなあ、シチリアの血を持ってこそ、悲喜こもごものシチリアを愛することができるんだろう。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/627-90278e72

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - - - 1 23
4 5 6 7 8 910
11 12 13 14 15 1617
18 19 20 21 22 2324
25 26 27 28 29 30 -

全記事

フリーエリア

フリーエリア