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フリーメイスン もうひとつの近代史

バチカンものとセットになってよく登場するフリーメイスン。所詮下世話な好奇心があるだけなんだが、この際一度アカデミックに学んでみてもよかろう。

4062586045フリーメイスン もうひとつの近代史 (講談社選書メチエ)
竹下 節子
講談社 2015-06-11

by G-Tools

案の定、秘密結社やxxxの影にフリーメイソンあり、といった下世話な好奇心を満たしてくれる本ではなかったし、フリーメイスンとは何ぞや、というより、近代における宗教史の要素の方が強い。

フリーメイスンって何?ということなら、Wikiでよいのかもしれない。少なくともこの本を読んだ後には、謎の秘密結社的な印象はかなり薄れる。むしろ、再び日本人故に理解が難しいのは、カトリック/プロテスタント双方のキリスト教への理解のなさ、実感のなさ、の方。宗教色の薄い日本において宗教を実感できるのは、仏教なんかを基本に考えるより、神道、そして天皇の位置づけの方かも知れない。カトリックやプロテスタントの国においてさえ、現代ではその宗教色は薄れているわけで、それは日本も西洋も同じ。でもその中でも漠然と残るもの何かへの畏敬の念というのは、私なら、日本における天皇制との比較の方がたやすい。

フリーメイスンが取り沙汰されるのは、過去様々な形で弾圧や対立関係があったからだと思うのだが、その規模といい歴史的な長さといい、ダントツなのはカトリック。そもそも一神教は排他的だから、カトリック教徒がフリーメイスン会員というのは、在り得ない話しなのだが、フリーメイスン自体は、宗教制限はないらしい。そしてユダヤ人との関係。アンチカトリックという意味で、ユダヤ人にとって、フリーメイスンは垣根の低いものであり、ユダヤ人がいるところは悲しいかな、弾圧が生まれてしまうのである。とはいえ、それなりの有力者の集まりであるエリート集団であるが故、政治色を廃するのは困難で、歴史の表に裏に度々登場してしまう。アメリカ大統領などほとんどがそうだったらしい。陰謀説の真偽はさておき、どうもフリーメイスンに宗教色がないのは、その基本理念(「自由」、「平等」、「友愛」、「寛容」、「人道」)もさることながら、会員になろうという人に魂の救済を求める気持ちはないからで、そこが宗教との大きな違いだな。エリート=幸せという図式は安易だが、貧乏ゆえの苦悩とは無縁の人たちに、何かにすがって現世の苦悩から開放されたいという気持ちは少ないと思われる。

それにしても極論を云えば、世界の歴史=キリスト教の歴史じゃないと云いたくなるくらい、キリスト教の影響力というものは、凄い。もしキリスト教というものが、違う形で発展したのであれば、世界の歴史は全く違うものになったろう。

さて最後にどうでもいいところで、ヘエ~~と思った箇所をひとつ。
ユダヤ神学によると神は人間に後を託して去ったので、ユダヤ人にとって人は自由意志と責任を有する自立した存在である。神は人間が「完成の道」をたどることに賭けたのだ。創造は終わっておらず、人がそれをつづけなくてはならない。人は安息日にだけ「被創造物」に戻って神を称えなければならない。霊的な覚醒が大事で、人はこの世で「あるべき者になる」使命がある。フリーメイスンも同じだ。内的な旅をするメイスンは石を磨くように自分を磨き完成と自由へ向かう。ユダヤ教もフリーメイスンも教条主義を嫌い全体主義と戦う。一世紀のラビ(イエス)がローマの兵士に言ったユダヤ教の定義「だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と預言者である」がフリーメイスンの典礼に使われているのがよい例だ。ヘブライ語では「在る」という動詞は神だけに使う。人は「在る」状態に「なる」のだ。

引用は長いが、ヘエ~は、”ヘブライ語では「在る」という動詞は神だけに使う。人は「在る」状態に「なる」のだ” なんだけど、それは
BE と BECOME に繋がるの? もしそうなら、まさしくヘエ~であるんだが・・・
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