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冷たい肌

ブログカテゴリー「スペイン」が少なすぎるなあ。時間がとれないうえ、読み始めると眠くなるというここ1ヶ月の悪循環で、冊数が進まぬ繋ぎに、これをひとつ。謳い文句は「カタルーニャが世界に発信する新しい文学」ということで、翻訳者のあとがきにもあるけれど、カスティーリャ語(スペイン語)の影に隠れ、長いこと使うことさえ許されなかったカタルーニャ語で書かれた本として、評判を読んだらしいけれど、それを脇においても、ホラー小説としてかなり面白かった(そして怖かった)。
冷たい肌冷たい肌
(2005/03)
アルベール・サンチェス ピニョル

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カタルーニャ文学だからカタルーニャが舞台かと思いきや、主人公は独立の理想の夢やぶれたアイルランド人、彼は逃げるように気象観測官として絶海の孤島に赴き、そこで出会う正体不明、狂人としか思えない男カフォーと、人間ではない奇怪な生命体との生き残りをかけた戦いが始まる。毎夜毎夜襲ってくるその人間ではない化け物たちと戦うため、主人公はカフォーと共同戦線を張ることになる。

最初は主人公だけが普通の人間だと間違いなく思っているけれど、カフォーの正体がわかり始め、そして主人公がカフォー化(?)していくと何がまとなことなのかという基準がズレていることに気付く。さらに、こんな極限状態にいながら、主人公とカフォー、そして”人間ではない”彼女との間の愛と三角関係が語られる。その化け物たちもそもそも、戦いを仕掛けているのだろうか?ここで、私の基準はまたまたズレる。ホラー文学としても面白さは抜群なのだけど、隔絶された世界の3人(”彼女”は生物的には人間ではないけれど)の描写の細かさが、この本を更に面白くさせてくれた。

作者、Albert Sánchez Piñolはバルセロナ生まれの文化人類学者でこの本が初の長編小説。文化人類学者の語るカタルーニャ文学という見方をすれば、長いこと正当な理由からではなく、時代の流れの中で弾圧されてきたカタルーニャを透かしてが見ることも出来るけど、世界を見てきたAlbert Sánchez Piñolなら、実はもっと普遍的な世界観を語っていると見た方がいいような気がする。
私にとっては隠れたヒット作でした。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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